PCによるWebアクセスは、あと何年で消えるのだろう−携帯がPCを駆逐する日

http://d.hatena.ne.jp/MAROYAKA/20080620/1213964672

 海外ではわからないが、日本においては「PCからWebを閲覧する」という文化は、今が黄金期なのではないかと良く思う。すなわち、こらから先PCによるネットの利用は右肩下がりに落ちていき、最終的には絶滅、というのは大袈裟にしても、携帯とPCの比率が9:1くらいになるのではないか、と勝手に予感している。

言いたい事がなんとなくわかる。基本的な線では私も同感。

 その理由として挙げられるのは、まず携帯ハードウェアの進化のスピード。次に、若い世代が初めて触れるネット環境は携帯が当たり前になっており、既にPCが特殊なポジションとなりつつあること。そして、Webサービスの多くが次々に携帯対応を果たしており、さらに商売の手間や通信の管理を考えれば、携帯専用の方が都合が良いであろう事。

この指摘は的確だと思う。
ただし、最大の弱点がある。電波はそう簡単にバンド幅が広がらないのではないだろうか。
ひところ騒いだ「放送と通信の融合」というキーワード。
当時は夢があった。でも、今はどうか。FTTH網が日本全国津々浦々…とまではいかないものの、地方中小都市の市街地までエリアが広がり、加入者数がADSLと逆転するのは時間の問題とまで言われている。
が…どうだろうか。
著作権やらなんやら法的にまだまだいろいろ面倒な事は残されているが、技術的にはクリアできるようになった…
と言える状態だろうか?
P2Pなどで一部の人が大幅に帯域を食ってそれ以外の人が満足に使えない、だから帯域制限をする、なんて言ってる状況だ。この話が現実となってから、「放送と通信の融合」は当面無理っぽい、という雰囲気で覆われている。せいぜいニコニコ動画YouTube程度だ。地上波テレビを大多数の国民がネット越しに見る、というのが通信業界の夢だったはず。あと一歩のところまできてたのに、デジタル化によるHD化でその夢はまた遠くに離れた。
つまり、携帯電話で出来る事はいいとこ静止画コンテンツかニコニコ動画のような短時間動画に限られる。PCはここに生き残りをかけるしかない。

ただ、これはこれで問題がある。
ネット上で商売することを考えたとき、すなわち課金をどうするか?とか、プラットホームをどうするか?を考えたとき、サービス提供側からすると非常に都合がよいのは文句なしにその通りである。
いつセキュリティが破られるか分からない、フリーソフトなどで不正操作をされるか分からない、お金を払ってもらったのに環境の違いでサービスを満足に受けられないお客さんが出てくる、などなど。
その点、携帯電話という閉じた網、均一なプラットホーム、破りにくいセキュリティ、少額でも課金代行をしてくれ、身元がはっきりしている。事業者側からすると、これほど安心できるネット環境は他には無い。PCはここが最大の弱点になる。

「PCからWebを閲覧する」という文化を100%守るための完璧で確実な方策

これは「プロ環境」というところで生き残る以外にはなくなるであろう。

マイクロソフトのWindowsVistaの売れ行きが芳しくないという。つまり、PCという環境ではなくて、インターネットに接続できてそれなりにちゃんとホームページが見れて、メールがやり取りできればそれでいい、という人が多いという事に他ならない。つまり、これが携帯電話の姿だ。大画面が欲しければかつてのワープロのように「据え置き型携帯電話」があればいいのだ。
いままではソフトの進化が激しかったのでこんな機器を作ってもすぐに陳腐化する事が目に見えていた。だから、そのリスク回避として柔軟にソフトをバージョンアップできるPCを選んでいた。しかし、WindowsXPが出てはや6年。あと数年は現役で居られそうな雰囲気だ。つまり、10年は持ちそうだということだ。10年持つ環境となれば話は変わってくる。テレビやビデオも10年ぐらいは持って欲しいと考える。つまりテレビもビデオも10年間は仕様が変わらない(若しくはアッパーコンパチで進化する)ことを暗に期待しているのだ。パソコンも同じ。同じ仕様で10年持つんだったらかつてのワープロ専用機と同じように専用機を組んでしまえばいい。セキュリティ的にもぐっと耐性が増すだろうし、均一なプラットホームが出来ればそこを中心にさらにサービスが広がる。
結果として、消費専用ツール、サービス享受専用端末、として携帯電話のような専用機が広がっていくだろう。

PCはどうか。一部のプロやアマチュアのクリエイターといった、「何かを作る」「何かを生み出す」側の人間ののみが使う特殊な機器になっていくだろう。
キーボードも一般の人は覚えにくい。
でも、携帯電話のように十数個のキーですべてが完結すると思えば何とか覚えようとするものだ。
地上デジタル対応テレビのリモコンが総じて不評なのもボタンが多すぎるからなのだ。これ以上は無理。


で、結果的にどうなるか。
立場的にはPCは「サーバー」、携帯電話を含めた専用機は「クライアント」として住み分けられていくと思われる。
サーバーなんて一般の人には用はない。
一時期ホームサーバーなんていう発想もあったが、そんなものが家庭にあっても困る人の方が多いだろう。
家庭はサービスさえ受けられればいい。ASPサービスやSaaSの方が現実的だ。
専用機とPCの間にブロードバンドを利用したターミナルサービスのようなものが出てくるかもしれない。
PCが生き残るにはこういうサービスを作ってPCへの架け橋を作ってあげないとダメなのかもしれない。