「言うのはタダ」でいいのか

リニア「丁寧な説明必要」 知事、あらためてJR東海に注文

http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20090214/CK2009021402000001.html
 ルート選定で、JR東海南アルプスを直線的に貫通するCルート推進の意向を示していることについて「県は一度、(諏訪、伊那谷を通る)Bルートでコンセンサスをつくった。(Cルートという)結論だけ出して同意しろと言われても基礎知識も十分な情報もないのに無理」と強調。「Bルートではどうして難しいのか。吟味に堪えるだけのデータを示して説明されることを期待している」と述べた。

 県は6日、同社と第1回の「勉強会」を開催。リニアの技術的な特性などの説明を受けたが、知事は「報告を聞く段階ではない」と述べた。

記事に悪意があるかもしれないが…
知識も情報もない、といいながら、勉強会の報告は聞く段階ではない、と。
感触としては「できる報告以外は聞きたくない」って言うように見えるな、これは。

できない説明をしろって言われたら、「やればできる」って答えざるをえない。単純に「儲からないからやりたくない」っていうことだろうし、首都圏や中京圏の人が得るはずのメリットを、ルートの途中にたまたまいるだけの長野に分け与えてもJR東海に利益はない、っていうことだろう。長野経由にした分の時間遅延分×乗客数を長野が補填します、だからCルートに、っていうぐらいじゃないと議論にならないな。言うのはタダ、通れば儲け物、というレベルを地方自治体が言っていいのか?

そもそも論として、

 リニア中央新幹線計画をめぐり、村井仁知事は13日の会見で、「国家的なプロジェクトというなら、それなりに丁寧な説明がいる」とあらためてJR東海側に注文をつけた。

国のプロジェクトではない。まぁ国土交通省が当然絡んで来るんだろうけど、国の予算でやるわけじゃない。
ここまでしつこいと、静岡回りのルートを考えたほうがいいんじゃないかなぁ、と本気で思ってしまうな。

もっとも、リニアの話が現実味を帯びてくると、いまの都道府県が、自治体の単位としては狭すぎる、という事になってくるだろう。
運賃の高さを考えると現実にできるかどうかという話はあるが、理屈から言えば名古屋から東京に通勤通学ができる、という事になる。なんせ40分で名古屋から東京についちゃうんだから、普通に通勤圏って言う事になる。かりに、このままのリニアを東北に伸ばせば仙台からも通勤圏になるだろう。都道府県の概念がいまの市町村レベルになる。

こう考えると、リニア以外の交通網の遅さが相当足をひっばる事になる。方や時速500キロ。電化もしていないようなローカル線だと各駅停車しかないから時速50キロ程度か。高速道路も100キロ。
新幹線が210キロの頃はまだ目立たなかった。しかし、300キロが見えてくるとかなりギャップを感じる。新幹線を降りて乗り換えたあとの2次交通網があまりにも遅い。博多から鹿児島方向への特急や、八戸から青森方向への特急。いまとなっては距離の割に時間がかかるといわざるをえない。
これからは自動車の時代ではないかもしれない。ローカル線レベルでも100キロ先の都市に30分でいけるぐらいの速度があれば、車から鉄道に人が帰ってくるのではないだろうか。