生産者より流通側のほうがオイシイ世界

右も左も懐メロだらけの“音楽界の惨状” (ゲンダイネット)

http://news.www.infoseek.co.jp/entertainment/music/story/15gendainet07027411/
「懐メロを聴きたいというファンはたしかに一定数います。ただ、どこもかしこもというのは知恵が足りないし、情けないの一言。レコード会社がリスクを敬遠して新人の発掘を怠れば、スター不在の芸能界で人気歌手がますます枯渇する。テレビもブームに便乗してばかりではなく、マジメに番組を作るべきです」

 かつて往年の名曲を聴いて青春時代を送ったファンがいなくなれば、誰も「懐かしい」と思わなくなる。その時点で日本の歌謡界は終わりを迎える。

会社組織が2,3年先までの短期的な利益を追求する時代、リスクをとれというのも難しいだろう。

もっとも、こういった芸事は基本的にはすべて「お礼は見てのお帰り」だと思っている。
つまり、先にお金を払って芸事を見せるスタイルは破綻しかかっている、と考えたほうがよい。
もともと芸事を表現する方法はライブしかなかったはずなのだ。それが、記録媒体というメディアが出来るようになって、芸能人が芸事を現場で披露しなくても芸事を見せることができ、見ることが出来るようになった。
それが今では記録媒体というものが不要になった、ということがそもそもの要因だろう。

しかし、これは根本的な話ではない。そもそも芸事は「お礼は見てのお帰り」。
芸事を見てから評価や価値が決まる。地道に土佐回りをし、人気が出てきたらCD化するなり売出しをかければいい。レコード会社は新人を孵化させる舞台を作るべきである。
出来上がった確実に儲かる芸能人ばかりを取り上げることをすれば枯渇するのは当然の話。

もっとも、今の時代、コンビニやファミレス、ファストフードといった飲食店からテレビの制作現場にいたるまで、リスクを弱い人に押し付け、おいしいところだけをいかに強者が持っていくか、というビジネスでなければ儲からないという状態である。つまり、こつこつ働いたら負け、誰かに働かせてその上がりを掠め取るのが勝ちなのだ。
食物連鎖で言うところの草食動物になんかなりたくない、という思いが肉食動物化へと駆り立てるのであろうが、その結果、全員が肉食動物になってしまって食い物にする相手がいなくなってしまったという状態が現代なのだ。

つまりこれは音楽業界に限った話ではない。
自動車や電機に代表される産業界から上に書いた飲食店に至るまで、現場労働者が救われないという現状を端的に現したものなのだ。

コンビニの店長、ファストフードの店長、工場の現場労働者、テレビ番組制作会社の社員、タクシーや運送会社の運転手、農家、エンジニア、漫画家などのクリエーターと呼ばれる人たち、代理店や子会社の社員、派遣、請負会社の社員などなど。
みんな搾取されるために働いている立場の人、といっては語弊があるかもしれないが、当事者はそう感じ取っても不思議ではないはずだ。

歌手や作詞、作曲家がたいした稼ぎもないのに、レコード会社の人はおいしい思いをしている。
最近の話では漫画家と出版社の間でも騒動がおきている。理由は同じだろう。漫画家はつらい思いをしているが出版者の社員は高給取り。
古くは農家と小売店の関係も同様。農家はいつまでたっても貧乏だが小売店は巨大化する一方。
エンジニアより銀行や証券会社の人のほうが稼ぎがよいことも同様。

生産することよりも、成果物を左から右へ流したほうが儲かる。これを解決しないとすべての生産物は消えてなくなるかも。