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商業の基本

コンビニ最大手の店舗数超えた「農作物直売所」 日本農業の“希望”

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090920/biz0909202044003-n1.htm
 直売所はかつては、農家の軒先の無人コーナーやプレハブ小屋のイメージが強かったが、本格的な施設も増えた。自治体や第三セクターが国道沿いの公共施設「道の駅」で開業し、JAも参入した。国が17年に初めて調査したところ、全国で1万3538施設、年間利用者は延べ2億3千万人に上っていた。

東北のド田舎に住んでいる身としては、非常に良く分かる。確かに一部の産直にはたくさんの人が集まっている。しかし、"産直"だから受けているのかといわれると疑問が沸く。
そんな折、こんな記事が出ていた。

「商店街に魅力なし」が4割=内閣府調査

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%be%a6%c5%b9%b3%b9&k=200909/2009091900240
それぞれが暮らす地域の中心市街地の課題を聞いたところ、40.6%が「商店に魅力がない」と回答。「にぎわいが感じられない」(32.1%)、「鉄道やバスなど公共交通機関の利用が不便」(29.4%)が続いた。内閣府は各地で進む市街地の空洞化が裏付けられたとみており、「車を持たない高齢者らに配慮したコンパクトな街づくりが必要」としている。

まず、40.6%の回答を得た「商店に魅力がない」という点。

端的に言えば品揃え、ということになるだろう。大型店の品揃えを一度でも見てしまうと、もう個人商店には戻れない。情報化が進んだ現代、テレビや新聞のみならず、ネットを使って世界中の情報が手に入る。通信販売で外国のものを直接買うことも難しくなくなってきている。そんな状況で、個人商店の品揃えの中から選べ、といわれたら買い物がつまらなく感じるだろう。

そこに行くと、産直は

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090920/biz0909202044003-n2.htm
日本総研の大澤信一主任研究員(53)は「消費者から強い支持を得ている。収穫から数時間と新鮮なうえ、中間流通経費が大幅に削減され、安い輸入農産物との競争にも打ち勝っている」。

基本的にはどこで買っても同じ農産物。「新鮮」「安い」に越したことは無い。農産物は新商品が次々に出るわけでもないので、大型店との品揃え競争に巻き込まれにくいから助かっているだけなのだ。



2つめの「にぎわいが感じられない」(32.1%)

これは卵と鶏の関係だろう。混みすぎもよくないが、誰もいないところで買い物はしたく無いのが心情だ。他の要素を考えて賑わいを取り戻すことが必要…と書くと、なんかお役所言葉みたいだ。
賑わいは作るものではなくて結果として出来上がる「現象」だ。ここは対処のしようが無いといってもいいだろう。



3つ目の「鉄道やバスなど公共交通機関の利用が不便」(29.4%)

この指摘は正直見当はずれではないかと思う。鉄道やバスが充実していたら地域の中心市街地に行くのか?

その答えが好調な「産直」だと思う。

産直が「自治体や第三セクターが国道沿いの公共施設『道の駅』で開業し」といってるところがミソである。道の駅があるようなところは大抵鉄道やバスなんて通っていないか、公共交通機関を利用した場合とても不便なところにあることが多い。
それどころか、道の駅は道路網の要衝にあるとか、道の駅ゆえ、駐車場やトイレが充実しているとか、公共の道路に進入用の専用レーンが設けられているほど良く出来ている。郊外型の大型ショッピングセンターでも無い限り、進入用の専用レーンなんて作られることは無いだろう。道の駅は商売に必要な条件を持っているのだ。
その結果、

大澤さんによると、年商3億円超の直売所の多くは商圏が半径30〜50キロに及び、売り上げの6〜7割は週末に車で来店してまとめ買いする近隣都市の消費者だという。

当然こうなる。

地域の中心市街地が50km先のお客さんを呼べる状態なのか?

内閣府は「車を持たない高齢者らに配慮したコンパクトな街づくりが必要」といっているが、産直に来ているお客さんを見てみるといい。「車を持った高齢者」がとにかく多い。
たしかに国として車を運転できない高齢者への配慮は必要だろう。しかし、車を持たない高齢者、特にも地方の車を持たない高齢者は往々にして貧乏だ。貧乏ということは大して買い物ができないということだ。車を持たない高齢者を相手にした商売の商圏はせいぜい2kmがいいところだろう。それ以上お年よりは歩けまい。どう考えても商売が成り立つとは思えないのだ。むしろ産直からお年寄りに対して配達をするような仕組みを考えたり、それに対して国から補助を出すようなやり方のほうが現実的では無いだろうか。

商圏が30kmもあるようなお店は大型スーパーレベルとして認識されるだろう。産直は"産直"だから売れたわけではない。
「立地6割」といわれるぐらい、商売は立地が命なのだ。
もっと言えば、商店街があるから道路が出来たわけではない。人が通り、道路が出来て人通りが多くなったからお店が集まっただけなのだ。「まずは道ありき」ということだ。

車通りがおおく、トイレ休憩がしたいような場所ということは、需要はあるが供給が無い場所、ということだ。
そんな場所に誘導レーンを作り、駐車場を作り、トイレを作り、お店を作れば産直じゃなくてもそこそこ流行ることは間違いないのだ。

私の住んでいる地域にもたくさんの産直がある。
そして、その客入りはといえば、交通量の多さにほぼ比例する。
売っている農産物の品質そのものに違いはほとんど無い。
売れる産直ほど品揃えが良くなるのは当然の結果だ。
売れれば売れるほど品揃えが良くなり、品揃えが良くなればさらにお客が集まる。
結局、立ち上がりに必要なお客の数、すなわち交通量がものを言うのだ。
産直だから、と特別扱いすることは何も無いのである。

比較的近所に、中心市街地で小さな食料品店をやっていた人が店をたたみ、産直のそばに、大きな駐車場つきで店を開いたところがある。
結果はといえば、中心市街地で店を開いていたときとは比べ物にならないぐらいのお客さんで溢れていた。

中心市街地はもう商売をするところではないのかもしれない。

国や市町村も、中心市街地の再生のためにお金を出すのではなく、新天地に移転するためのお金を出したほうがいいのではないだろうか。

どうせ、中心市街地に残っているお店の多くが「店舗兼住宅」だろう。つまり、商売をやめても居座り続けるのだ。残された商売人にとってこれほど迷惑な話は無い。
商店街は切れ目なく続くからこそその効果を発揮する。
大型SCでもそうだ。空きテナントが発生するととたんにその周辺から人がいなくなる。
商売をやらない人には商店街から出て行ってもらう必要があるのだが…
その手間を考えたら、むしろ「やる気のある商店」のほうに新天地に店を出すための費用を出したほうが生産的だ。