若年労働者の労働時間は抑止すべきである

BizPlus:人事 連載企画:弁護士 丸尾拓養氏「法的視点から考える人事の現場の問題点」第73回「若年労働者の労働時間を抑止すべきなのか」

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm?p=1
 しかし、相当の勤続年数を経た従業員に対して「いつ一人前となったと思いますか」「いつこの会社でやっていけると思いましたか」と質問すると、「何日も徹夜してシステムを立ち上げたとき」「1人きりの海外出張が無事なんとか終わったとき」「難しいと思われた商談をまとめあげたとき」といった回答が返ってくることでしょう。

気のせいです(笑)
残業を多くこなしたり、自己犠牲をしたりして、ひどい目にあったから鍛えられた、実力がついたと勘違いしているだけ。

これを勘違いしている人があまりにも多い。特に会社組織の中間管理職から上の偉い人。

目的は若者の能力を上げることであって、残業させることではない。
能力を上げるときに苦労することはあるだろう。
スポーツだって基礎体力をつけるためにランニングしたり筋トレをすることもあるだろう。
その結果、筋肉痛やらいろいろと体が悲鳴を上げることはあるだろう。

しかし、それがいつの間にか、筋肉痛が起きないトレーニングはダメだとか、体が悲鳴を上げないトレーニングじゃ能力が上がらない、「うさぎ跳び」をしないと鍛えられない、練習中は水を飲んではいけない、といってるようなものだ。

会社組織における若者の扱いも同じ。能力向上ではなく「苦痛を感じる」ことが目的化されているのだ。


苦痛を感じれば達成感もひとしお…

スポーツならそれでもいいだろう。でも、会社は違う。個人の生活がかかっているのだ。

大小はあるものの「修羅場」をくぐったという経験が自信につながり、精神的安定をもたらします。

もう一度言おう。気のせいです(笑)

結果修羅場を迎えるのは仕方が無いかもしれない。
しかし、この手の物言いは「だからわざと修羅場を作ってやった。若者を鍛えるにはこれが一番。」と言いかねない輩だ。

残業続きで休む暇も無い、彼氏・彼女を作る暇も無い、お金はあるけど使う暇が無い、なんていう話は枚挙に暇が無い。
逆に、仕事そのものが無い、お金も無い、という話も然り。
結婚も出来ない、子育ても大変、という感覚はこの延長線上だろう。

認定基準の現実を踏まえれば、この年代の恒常的な長時間労働に伴う精神障害等の発症リスクは小さくないといえるでしょう。しかし、そうであるからといって、この年代に仕事をさせないことは、「一皮むける」チャンスを逸することにもつながります。そのような経験を経ない従業員に企業の将来を託すことには不安も覚えます。

過労死」か「餓死」か、好きなほうを選べと昭和の社会人感覚を押し付けたってついてこないことは明白である。

自らの生きる糧は自分で掴め。
それはその通り。
しかし、今の社会は権力者をひっくり返せるような隙が寸分も無い。

それでも企業の将来を任せるのが心配、というのならば、「うさぎ跳び」「水を飲まない」トレーニングではなく、ちゃんと役に立つ、効果があるトレーニング方法を模索しなければならないだろう。

しかし、今は社内の身内ですら敵同士。後輩への教育は自殺行為だ。

ここの評価を会社がしっかりしないと口だけの話で終わってしまうだろう。そうなる可能性はきわめて高い。

形式的な法理解や法令遵守にとどまるのではなく、ややリスクを冒しても、労使双方が人材育成の機会を活かし、むしろ作り出していくことが求められているのでしょう。

労使双方?
このひとは労働基準法を分かってないと見える。

労働基準法
32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

条件つきや例外ではない。
シンプルに1週間で40時間以上労働させてはならない、と書いてあるのだ。

つまり、36協定を結んでいる(実質、労働側は結ばされている)時点ですでに労働側はリスクを冒しているのだ。
これを無視して、36協定を結んだから法律的にも問題なし、という意識が使用者側にあるからこういう発言が躊躇なく出てくるのだ。

しかも、リスクを犯して得られたリターンの多くは使用者側が得ることになる。
サービス残業」が当たり前のように横行している日本の企業社会では、労働者側がリターンを得ることは難しいであろう。

むしろ、これから求められるのは使用者側がリスクを冒して人材育成をすべきなのだ。
それをほったからしにしておいしいとこ取りをしようとしたのが「人材派遣」だったはず。
人材派遣はその能力が売りであり、社内教育の手間隙を省き、即戦力がレスポンスよく得られるところに価値がある。

金銭と時間の直接的コストを負うのがいやなら人材派遣に頼むべきだし、それが出来ないなら社内で育てるべきだ。

でも、上で書いたとおり、社員同士ですら敵同士、という風土で社内教育はうまく育たないだろう。
自らのポジションを脅かされるようなことをわざわざするわけが無いのだから。

でも、このことは会社の管理職も同じこと。
自分のポジションと会社の将来。どっちが大事なの?教えて、会社の偉い人。