バブルの記憶が無くなる頃に

35歳で年収300万以下 団塊ジュニアの苦難続き人生

http://www.j-cast.com/2010/01/23058330.html
「手取り20万で結婚していいのか」
『"35歳" を救え』にも掲載されている、総務省などの調査を基にした統計によると、30〜34歳男性の所得分布が平成9年では年収500〜699万円が最も高い割合を示していたが、平成19年ではピークが300〜399万円まで下がった。勤務先の業績不振で年収が100万円以上下がった男性、夫の会社の倒産で収入が激減し、子ども3人を育てながら週5日の深夜アルバイトに出る女性――。『"35歳" を救え』には、悲惨な事例が描かれている。

いやらしく、かつ、危険な単純化をすれば、
団塊世代は「結婚しろ」「子どもを産み育てろ」「将来の生産者年齢層を増やせ」「俺たちの生贄のために」というだろうし、
団塊ジュニア世代は「すでに生贄状態」「これ以上生贄を捧げるなんてまっぴらごめん」「子供なんて産まない、育てない」「結婚なんてしない」ということだろう。

これは生活保護などの話や、ワーキングプア、ノンワーキングリッチの話にもいえることだが、
「働いて自立している人」より「働かないで保護されている人」のほうが豊かな生活を送っている事例があまりにも多すぎることに尽きるだろう。
有力政治家や特定団体の利権構造、コンビニやファストフードの本部と店長の関係、企業活動における都合の良い派遣労働者の雇用と首切りの関係、元請けと下請けの関係、大型ショッピングセンターにおける大家と店子の関係、そして、年金における世代間扶助の関係。
日本の美徳である「汗水流して対価を得る」スタイルからかけ離れたものであり、リスクをいかに排除するか、利益だけを得る「仕組み」を作るか、お金を吸い上げるのは当然の話である、という「仕掛け」をいかに作り上げるか、にすべて掛かっている。

結婚していいのか?

といわれれば、団塊ジュニアとしてはむしろ「良い、悪いではない」「日本の社会や団塊を支えるためだけなら意地でも結婚してやるもんか」という思いなのではなかろうか。
もちろん、結婚の良さ、子育ての良さは分かっているし、そういう生活をしたいと思っている。しかし、自分の労苦に対して得られるべき対価の多くが別のところに吸い上げられてしまう。

バブル崩壊により経済力の低下に、少子高齢化路線が確実なものになった日本に、中国の経済成長が重なって、現役世代の生活が大変になった、ということなんだろう。
どれもこれも、1年や2年でどうにかなるものではない。
30代の質素な生活を、右肩上がりが当然の生活を送っていた団塊の世代は真似できない。そのぐらい、団塊の世代に対する負担が重い。日本が丸ごと沈んでいくぐらい重い。
そして、こういう経済状況だ。団塊世代がしこたま溜め込んだお金は絶対に吐き出さないだろうし、あの世まで持っていくぐらいの気持ちだろう。

と、なれば、預貯金で暮らす団塊世代からお金を吸い上げるにはインフレを起こすしかないのだ。
しかし、年寄りだらけの国会議員はそんな法案を通すはずはないし、官僚や大企業の中でも、まもなく退職するような世代も反対するだろう。
つまり、やるべきことがわかっていても、拒否…拒絶…反対…!!やるんだったら自分が死んだあとで、だろう。

結果的にはバブルの記憶が無い30代が退職する頃…この頃はおそらく年金制度が残っていたとしても70歳からの支給になっているだろう。

年金は今の制度で行くとざっと9年で元がとれるといわれている。ここが肝。
制度的にまったくいじらず、支給開始年齢だけを70歳にした場合、元が取れるようになるのは79歳ということになる。79歳といえば、男性の平均寿命だ。
つまり、男性のちょうど半分は元が取れないということになる。言い方を変えれば、男性に限れば大体収支が合ってしまうということだ。
結果、ここまでは制度として破綻するどころかまともな保険として成り立つ、むしろ税金で穴埋めする必要すら無くなるので、法律として通る可能性が高い。

そして、この頃になっていれば「奇跡の高度経済成長」「右肩上がりの経済」が記憶上の過去のものから、実感の無い、歴史の一ページに変わり、教科書の一ページとして扱われるだろう。
あと、この頃になれば、中国も成熟し、脅威は感じなくなっているだろう。
そうすれば、先進国は欧米だけという団塊の世代から、先進国は地球上のあちこちにあって、海外行くのは普通のこと、コミュニケーションも海外の人とやって当たり前、ネットも携帯電話も空気みたいなもの、というデジタルネイティブな現在の10代が社会を牛耳る50代にならないと日本は上向きにならないような気がする。

つまり、団塊ジュニアの次の次ぐらいから持ち直すのではなかろうか。バブルの記憶が無くなる頃に。