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大型連休の分散より仕事の分散

地域でGWが1週間ずれる?大型連休分散に法改正検討

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100214/plc1002140107000-n1.htm
 観光が集中する5月の大型連休の分散化を図ろうと、地域ごとに異なる時期に大型連休を取得する「祝日法改正案」が、今国会にも提出されることになった。憲法記念日など記念日自体は変えないが「◯◯地方は5月第2週に取得」などと定めて、その地方では最低限、官公庁や公立学校は休みになる仕組み。混雑緩和で観光需要を喚起する狙いがある。政府は「休日革命になる」と意気込む。

この手の話は「サマータイム制度」と同じ。日本の企業文化から考えたら、誰も休めなくなる。
日本全国一斉に大型連休だ、と言ってなおその通り休めない人は多い。じゃ、休めなかった分、ほかの時期に同等の大型連休が取得できているか?
ゴールデンウィークは仕事だ」という声はよく耳にするが「その代わりに大型連休を取った」という声はまったくといっていいほど聞こえない。
つまり、ゴールデンウィークに休めなかった人は、ほかの日に大型連休を取っているのではなく、細切れになって休みを消化しているのだろう。
いや、それでも消化できれば良いほうかもしれない。代休をもらえるような会社は実質大企業に限るからだ。
ところが大企業というものは往々にして全国展開をしている。つまり、各地に支店やら支社やら営業所を構えていることが多く「ひとりでもお客様が居たら対応しろ」「相手が営業していたらこっちも営業しなくちゃ」ということで出来るだけ営業時間を長くする傾向が強い。
この状態でカレンダーを全国各地ばらばらにしたら、結局全国共通の休日だけが休みということになり、大型連休は消滅するということになる。

 WTは、3月に連休分散化の方策をまとめるが、国内を4〜6地域に分割する案が有力だ。対象は5月と10月の大型連休。5月なら、ある地域は5月の第1週、別のブロックは第2週と時期を1週間ずつずらして休日を設定する。

国内を6地域に分割した場合はおそらく北海道+東北、関東、中部、関西、中四国、九州の6分割だろう。

そして、この法律を今年のカレンダーに当てはめて、ゴールデンウィークをシフトすると…
九州が4月1日〜7日、中四国が8日〜14日、関西が15日〜21日、中部が22日〜28日、関東が従来どおりの29日〜5月5日、北海道+東北が5月6日〜12日だ。
これはきつい。九州は年度明け早々に連休だ。役所は休めないし、学校はまだ新学期になっていない。不公平感が出てくるだろう。
かといって、人口・経済力の最大派閥である関東地方をおいしい時期に持っていかないと効果が出ないだろう。テレビなどのマスコミも関東地方に合わせて4月末になってから「これから大型連休!」と盛り上げるはずだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100214/plc1002140107000-n2.htm
 地域ごとに連休時期が異なると、全国展開の企業や海外取引のある企業に影響が出るため、どのように経済界と連携できるかが新制度の成否を握りそうだ。

 政府は「操業を簡単には休めない製造業の割合が以前と比べれば低くなっていることもあり影響は小さく抑えられる。むしろ景気回復への効果が大きい」(国交省幹部)としている。

これは見通しが甘いといわざるを得ない。製造業は日本国内は言うに及ばず、海外との取引ですらごく当然に行われている。一番分かりやすいであろう製造業、トヨタ自動車関連だけですら名古屋の部品を毎日せっせと東北に運ぶ時代だ。
全国展開する企業は6週間もの間、どこかで大型連休が行われているという想定で仕事をする必要が出てくる。大型連休が無休になるとまでは思わないが、大型連休がただの土日になる可能性は高い。

その例が一部地域で行われている「○○県民の日」というようなものだ。県によってはこういう日を定めて役所や学校を休日にしているところがある。しかし、これが一般の民間企業の休みとして定着しているだろうか。おそらく環境の良い大企業であればあるほどその存在はなかったことにされているだろう。中小企業ならそもそも連休がとれる状況にないところも多い。つまり休んでいるのはお役所関係だけ、ということになる。これを全国展開するのと同じことだろう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100214/plc1002140107000-n2.htm
 高速道路、鉄道などの交通機関の混雑を緩和し、旅行費用の引き下げなどで国民の観光需要を喚起することができる。観光地にとっては従来の閑散期にも集客できるため、雇用創出に結びつくとみられ、内需拡大効果がありそうだ。欧州では、フランスやドイツなどですでに同様の「連休分散化策」が導入されている。

ヨーロッパは仕事の量や中身が決められているからこそ大型連休を取れるし、取ることが当然になっているからこそうまく行っているのであって、仕事の中身や量が決められていない日本の職場で大型連休を取ることは至難である。ましてや日本のレジャーは「みんなが行くから行く」的な感覚が多く、高速道路のETC割引も「割引だから割引効果のあるところに出かける」という出かけ方をする。
連休が分散化するということは、この「みんなが行くから行く」的な感覚がなくなるので、結果みんなが出かけなくなってしまう可能性もある。
さらに経済的に厳しくなっている昨今、遠出を控えることも十分考えられる。たとえば、東京の人は関東の中だけで移動する可能性が多くなる。つまり、同一休日圏内での移動が多くなるということだ。こうなると、休む人と働く人が同一圏内に存在することになり、休みをシフトした効果がなくなってしまうのだ。

それよりも、まずは大型連休にちゃんと休める環境が必要。

現状では「お金はあるけど暇がない」か「お金はないけど暇がある」かのどちらかの人が多い。
大型連休や観光旅行に消費してもらうには「お金」と「暇」の両方が必要。
そこを整備しないで、カレンダーだけいじっても意味がないのだ。

「お金」に関しては確かに厳しい。しかし「暇」に関してはそうではない。
大型連休を取得するためには、個人が「仕事が終わった」「だから休んで当然」という当たり前のことが通用する環境整備が必要なのだ。
仕事の範囲が明確になれば、個人は効率を上げやすくなり、休暇も取りやすくなるし、範囲外の仕事について新しい雇用が生まれることで前向きなワークシェアリングも期待できるのだ。