必要なのは「休む権利」じゃなくて「休める時間」

2週間の連続休暇「全員とれる環境を」 厚労省

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100217ATFS1400217022010.html
 厚生労働省は働く人の連続休暇取得を促すため、事業主に就業規則の改正などを促す方針だ。働き方の改善を目指す同省の指針を改正し、2010年度からの実施を目指す。指針の見直し案には2週間程度の連続休暇取得を促す場合、全労働者が取得できる制度の検討を求める項目を盛り込んだ。この案をたたき台に労使関係者との最終調整に入った。

以前に書いた

「週休3日」より「無給労働」の禁止と「有給休暇」の完全取得を

http://d.hatena.ne.jp/keito44/20100130/1264841880

に、驚くほどたくさんのブックマークとスターを頂きました。
賛同する人がたくさん居るんだ、サービス残業なんてしたくないんだ、もっと休みたいんだ、という人がたくさん居ることの表れなのでしょう。

で、今度は全労働者が2週間程度の休暇?

ぶっちゃけ、新しい制度とか法律なんていらない。
現行の法律をしっかり運用するなり、破ったらペナルティを課せられるように変えればいい。

現実問題、代替要員が居ないような中小企業はどうするんだろうか?
ありえないことだけど、2週間の休みなんて、その分国が従業員の給与を肩代わりするぐらい大盤振る舞いしないと実現は無理でしょう。
大企業でもかなり難しいのではないだろうか。
1年(52週)のうち2週間まるまる居ないということなんだから、全社員が2週間休むことになったら、人的リソースの約4%(2/52)が減るということだろう。
社員1000人の会社だと突然40人の社員が居なくなる計算だ。
まぁ、そのぐらい残業で何とかしろ、って言う会社が大半だろうけど、実際やってみたら「あれっ?意外と何とかなるんじゃね?」なんて言うことになって、休んでた40人の机がなくなってしまう可能性も否定できない。
経営側は人員削減で得られるコスト削減が余りにも効果抜群で即効性があるので、そのうまみから逃れられなくなっているわけで、従業員側はどこまで行っても「休む暇無し」の状態が続くことになる。
結局サービス残業ならぬ「有休労働」が横行することは目に見えている。
結果、実際に休めるのは公務員だけ、ということになりそう。

2週間の連続休暇「全員とれる環境を」 厚労省

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100217ATFS1400217022010.html
 指針の改正は政府が昨年末の緊急経済対策に盛り込んだ「働く人の休暇取得推進プロジェクト」の具体策となる。有給休暇の取得を促し、観光などによる地域経済の活性化を目指す狙いがある。

 現行の指針も土日と年次有給休暇を合わせて2週間程度の連続した休みをとれるよう事業主などに促している。ただ取得方法などをめぐる規定がない。厚労省は今回、同じ事業所で働く人が全員連続休暇をとれる仕組みの創設を事業主に求め、実際に休暇を取得できる環境整備を進めたい考えだ。

政府は何がなんでも観光で地域活性化したいんだな。
そうは言われても、環境整備という掛け声だけで、企業に対する罰則もなければ、有給休暇取得のための支援策もなさそう。

効果的な「取得方法の規定」なんてまったく想像がつかない…

エコポイントみたいに、有休をとった従業員が国指定の書類に会社からはんこ押してもらって、それを厚生労働省に送ると、有休を与えた企業に「有休ポイント」がついて、企業が取得したポイントに応じて減税か、補助金が受けられる、とかかなぁ。

そうでもしないと2週間の休みなんて労使双方無理だろう。

現実的な方法としてはこんな感じだろうか。
2週間の休みを土日込みで考えると平日休みは10日分。つまり、80時間分だ。年間240日働くとして、この2週間分の休みを1年に均すと1日あたり20分の休み。毎日7時間40分労働ということにしてしまえば、消化できないこともないが、たいていの人は間違いなく残業になるだろう。
結局、仕事量が絶対的に多すぎるとか、急を要する仕事とかが絶対的に多すぎるということだ。