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ジャンクミュージックの摂り過ぎによる聴覚障害に陥る音楽業界

法改正も意識不変 違法ダウンロード激増、音楽配信も急ブレーキ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100507-00000529-san-ent
 音楽業界誌オリコンの小池恒社長(45)は「“音楽はタダ”という間違った認識が蔓延(まんえん)している」と指摘。「今、違法ダウンロードは正規の件数の何倍にもなっている。まさにバケツの底に穴が空いた状態。犯罪行為なのだから、携帯電話業界と音楽業界が連携して撲滅に取り組むべきだ」と危機感を募らせている。  

違法ダウンロードの影響がないとは言わないけど、それが主原因と判断してしまう音楽業界はかなり重症なんじゃないだろうか?と思うのが、音楽業界素人の私の肌感覚。
しかもそれを音楽に直接携わる人じゃなくて、業界誌であるオリコンが気が付かないというのは、ジャンクフードの食べすぎで味覚障害に陥り、何が本当の料理の味なのか、何が体にいい料理の味なのか、もはや分別が付かなくなっている状態なんじゃないかと思ったり。

こうなる予兆の一つとして、しばらく前から言われるようになった「カラオケの衰退」の原因を探らずにほったらかしだったからではないだろうか。
カラオケが衰退した原因はいろいろ言われているが当時よく言われたのは「新曲が覚えきれない」「誰も知らない曲が多くなって盛り上がれない」というもの。
一言で言ってしまえば「供給過剰」なのだ。

さらに時代をさかのぼると「歌番組の減少」が挙げられるだろう。もっと絞れば「ランキング番組の減少」である。
懐古主義になっても仕方がない面はあるが、昔は「2週連続1位」とか「5週連続1位」なんていう曲がたくさんあった。ヒットしている時間が長いからたくさんの人の記憶に残る。口ずさめる曲は共感を呼ぶ。共感は安心と感動を呼ぶ。
現在はどうか。
「2週連続」どころか「デイリーランキング」ですら2日続けて1位を取ることがむずかしい状態。1週間後にはすっかり別の曲が1位になっていたりする。これでは曲が普及しない。当然覚える暇がない。愛着も沸かない。有象無象の曲が次から次へと沸いては消えていく。

音楽業界が「いい曲を広める」という主目的を外れ、CDが売れればいいと、手軽で儲かるファストミュージック、ジャンクミュージックを少量多品種生産し、コンビニのように「1週間売れなかったら売り場から撤去」のような商売ばかりに走ってはいなかっただろうか。

そこに追い討ちをかけたのが著作権問題だ。

音楽CDを買うことによって得られるものはなんなのか?

という疑問に対し出てきた答えが「楽曲を自宅で聴く権利」と来たもんだ。
厳密な意味では車で聴くのもダメ、iPodで聴くのもダメ、ということらしい。

じゃあ、CDが傷ついて聴けなくなったら交換してくれるのか?

という疑問に対して出てきた答えは「もう1枚買ってください」と来たもんだ。

ここに音楽業界の本音が見えてしまったのだ。

売りたいのは楽曲じゃない、銀色の円盤なのだ、と。

かくして、中身はどうでもいい、なんかテキトーに宣伝して、聴覚が発達していない若者の耳をだまして、いかにもおいしそうな味付けをしたジャンクミュージックを売ることでおいしい思いができる、ということを音楽業界が気が付いてしまったのではないだろうか。

ところが、ジャンクミュージックに蝕まれたのは音楽ファンではなく、音楽業界の側だった。

音楽ファンの音楽に対する「味覚」は正しく成長し、大人になった。そうなったとき、大人の味覚に耐えられる音楽を供給できなくなってしまっていた音楽業界。そりゃそうだ。売りたいのは銀色の円盤なんだから。やったことは過去の名作の焼き直しだけ。ジャンクミュージックしか供給できなくなった音楽業界の側が味覚障害に陥っていて、正しい音楽の味を忘れてしまったのだ。
そして、ジャンクミュージックの再生産が始まった。ジャンクミュージックを聴いて育った若者が社会に出て、音楽を制作する側に回ることになる。
それでも今まではよかった。このやり方が通用したのだ。店頭に並ぶCDさえ管理していればよかったのだから、過去の名作と比べられることはない。
しかし、インターネットを通じ、さまざまな方法で新旧、国内外、そしてなによりメジャーマイナー問わずあらゆる楽曲に触れることが出来るようになった。ここで、ジャンクじゃない、無名でもいい音楽に触れた人はどう思うだろうか。3000円も出して有名だというだけのジャンクミュージックが記録された「銀色の円盤」を買うだろうか。音楽業界には悪者を探すだけではなく、一般の人の立場に立って良く考えてみて欲しい。音楽業界は特別な商売ではないのだ。普通の小売店や製造業と同じだ。奢るな、音楽業界。