ガラケーはiPhoneに敗れ、既成政党は維新に敗れた。
今回の大阪W選挙は市長選、府知事選とも維新の会が圧勝した形になったわけですが、これはむしろ既成政党や既成の政治団体、経済団体、その他半ば公的な団体、マスコミに至るまでありとあらゆる「勝ち組」が韓流よろしく、自分たちだけに通じる大人の都合をゴリ押しした結果に嫌気がさしたのではなかろうか。
それは不要な機能をごてごてと載せ続け、無駄なリソースを食いつくし、過剰なコストを利用者に押し付けた挙句、自らのエコシステムに利益を集中させ続けた結果、iPhoneの登場と共に一気に支持層を失ったガラケーとダブって見えるのである。
ユーザーが携帯電話に求める機能は多種多様である。お財布機能は欲しいけど、ワンセグは要らない人、カメラは欲しいけど音楽プレーヤー機能は要らない人などなど、要不要はさまざまである。結果、キャリアとメーカーはあれもこれもと機能てんこ盛りの携帯を作って売るようになる。当然高いものが出来上がる。しかし、ユーザーは全機能が欲しいわけではなく、必要な機能をそれに見合った価格で欲しいのだ。裏を返せば、要らない機能はムダであり、無駄な機能のためにコストを負担するのは御免なのだ。行政も同じ。要らない組織はムダであり、無駄な組織のためにコストを負担するのは御免なのだ。
携帯各社と携帯メーカーは完成されたエコシステムの中で安住したかった。公務員が天下りのための組織を作り、自ら作った組織に天下り、予算を随意契約で安定的にもらうがごとく。しかし、こんな携帯電話とこんな携帯サービスにユーザーはもやもやとした不満を抱いていた。キャリアもメーカーもうすうすは感ずいていたかもしれないそんなユーザーの声。でも、きっと「大人の事情」を優先させてしまったがためにユーザーの声にこたえることを許さなかったのだろう。
数多くの機能を詰め込んだガラケーもWiFiが搭載されたものは極わずか。それはWiFiなんか使われたらパケット代が入らなくなるというキャリア側の「大人の事情」をユーザーニーズより優先させてしまったからなのだ。
そこに颯爽と現れたiPhone。必要な機能はアプリで提供。携帯網だけでなくWiFiでも通信が出来るから通信代も節約できるし通信速度も満足度が高い。何のしがらみもないから大人の事情に縛られることもない。ユーザー目線に一番近い携帯の登場である。
そして、大阪のユーザー目線に一番近く、派手な演出、分かりやすい目的を持ったものが維新の会の橋下、ということになろう。
もっとも、iPhone以前にもブラックベリーなどがあり、一部のユーザーからは「これを早く日本でも使えるようにしろ」という声が根強くあった。この辺はさしずめみんなの党あたりのポジションか?
かくして、選挙を制した維新の会。既成政党たるガラケーメーカーはiPhoneを超えられるものを作れるだろうか。そのためには数多くの「大人の事情」を捨てなければならない。