労働市場が流動化すると若者の就職離れが起きる

企業が女性を雇わないわけ

http://jyoshige.livedoor.biz/archives/5252336.html
少子化の最大の原因は、日本型雇用そのものにある。
(中略)
要するに、勤続年数に穴の空く女性を排除→出産の機会費用が高騰→少子化促進という流れだ。
これを避けるには、積み上げ式ではない職務給をベースとした流動的な労働市場に移行するしかない。
それなら、企業は女性を排除する理由は無くなるし、一度退職しても再就職のハードルも下がる。

労働環境労働市場に冠するこの手の主張は基本的に正しいんだろうけど、その条件は「求人数が十分あって労働者の売り手市場になっていること」が前提だろう。求人が十分にないと「誰かが就職した分、誰かが失業する」のだ。求人数が求職者数を下回れば、労働市場はいすとりゲームになる。こうなると就職口と言う一度掴んだ椅子は手放したくないのが心情だ。なぜなら、次回のいすとりゲームは前回より厳しいからだ。かくして、労働市場流動性は失われていくのだ。
経営層が移民を欲しがるのもこういうことだろう。労働者の売り手市場になると賃金が上がるばかりでなく、会社に定着もしなくなる。経営側はそれでは困るだろう。従業員が低賃金で会社にしがみついてもらわなければならないのだから。

一方、恋愛市場はどうなっているか。もうすでに「職務給をベースとした流動的な市場」になっているのではないだろうか。

若者の恋愛離れはネットやゲームなどの仮想現実の影響と大学教授

http://www.yukawanet.com/archives/4126564.html
森川教授によると最近の若者は恋愛があまりに難しく、いわゆるイケメンや美人しか成功しないのではないかと、勝手に思い込んでしまい、恋愛に対する意欲が薄れているのではないかと述べている。

思いこみもないことはないだろうが、イケメンや美人ではない大多数の一般人は上に書いた「労働市場のいすとりゲーム」と同じ状態に巻き込まれているのだ。

結婚相手に平均、平凡、平穏を求める三平女子や圏外婚が増加

http://www.news-postseven.com/archives/20120303_92336.html
彼女たちが求めているのは、安心と安定でした。平均的な年収で、平凡な外見で、平穏な性格、つまり“三平”の男性がいいという女性が増えているんです。

恋愛市場は求める相手に年齢や年収など一定の枠があるため、カップルが成立すればするほど座れる椅子が減っていく一方の市場である。つまり、求人倍率が1を超える事はほとんどなく、時間が経てば経つほど椅子が減っていく市場なのだ。
冒頭の記事で言っている「積み上げ式ではない職務給をベースとした流動的な労働市場」に現在の雇用情勢のまま移行した場合の事象そのものなのだ。

で、現実にはどうか。

http://www.yukawanet.com/archives/4126564.html
皆さんはガールフレンドが居ますか?もしいないとすればそれは病気です、という斬新なキャッチコピーから文面が始まっていた。

男性の恋愛に対する意欲不足があたかも病気であるかのようなキャッチコピーが出ていますが、これになぞらえれば「皆さんは就職先がありますか?もしないとすればそれは病気です」ということになるだろう。

まぁ、キャッチコピーごときに目くじらを立ててもしょうがないのですが、恋愛に対する意欲不足が病気として見られてしまう事に違和感を感じるのはこういうことでしょう。「就職先がないのは努力不足なのか?いいえ、病気だからです。」で通るわけがない。

http://www.yukawanet.com/archives/4126564.html
挙句の果て、ネットやゲームなどのいわゆる仮想現実の世界に逃避し、現実と区別できなくなってしまっているのではないかと話す。コレは一種の病気ではないかと警鐘を鳴らしている。

区別がついていない奴なんてごくわずかでしょう。ほとんどの人は区別がついている。ガールフレンドがいる男性だってネットやゲームで遊ぶだろう。
でも、恋愛市場と言う現実の世界に椅子は余っていない。仮想の世界なら椅子が無限にあるから、椅子に座っている気分を気楽に味わう事ができる、と言う程度のことだろう。

しかし、現実は労働市場と同じように時が経てば経つほど椅子が減っていく。
一番有利な初回のいすとりゲームに敗れた男性が、2回目、3回目と回を重ねたら勝てるようになるだろうか。

相対基準でなく、絶対基準で採用すべし

http://www.newair.co.jp/services/human/mentore/method.html
優れた会社の多くは、絶対基準による採用を導入しています。未来を託す人材の採用に、決して妥協はしないという一貫した姿勢です。たとえ、採用予定人数に満たなくても、絶対基準に満たない人を採用することはありません。

まさにこれ。
恋愛市場で女性はこの感覚で男性を「採用」しているのです。
失業したり退職したりして稼げなくなった男性が「クビ」になるのもこういうことでしょう。

つまり、労働市場が流動化すると、恋愛市場と同じように就職版「草食男子」が現れるようになり、就職そのものに消極的になる人が増えるのである。そして、それはすでに存在する。ニートってやつだ。

逆に恋愛市場で男性から「処女信仰」「ビッチはダメ」な声が根強く聞こえたり、女性が求める条件提示を「上から目線」と感じる男性が多いのは「流動化」の否定なのだ。

流動化された恋愛市場の強者は、いすとりゲームで複数の椅子をゲットできる反面、弱者はより一層椅子獲得が困難になる。複数の椅子をゲットできた強者は労働市場にありがちな「お前の代わりはいくらでもいる」「嫌ならやめろ」という脅しに恋愛市場でも屈する事がなくなるのだ。これにより「上から目線」を排除し、自分の要求を突きつけることが出来るようになるのだ。でも、ここまで出来る人はほんの一握りだろう。大半の人はそこまで強く出られないだろう。
つまり、若者の恋愛離れ、晩婚化を食いとめようと思ったら「流動性を抑える」のが良いと言うことになる。

http://jyoshige.livedoor.biz/archives/5252336.html
たまに「女性が社会進出したから少子化になったのだ」という女っけの無さげな意見をいう人もいるが、そういうのは40年くらい前の保守派の意見で、女性の能力活用無くして経済成長はあり得ない。そもそも今さら戦前みたいな男尊女卑社会に戻れるわけないだろう。

その極端な例がこういう声だろうし、「処女信仰」「ビッチはダメ」という声につながっていくのだろう。
恋愛市場に関しては過当競争になってしまった結果の「恋愛離れ」であり、恋愛市場での競争を放棄したのが「草食男子」なのだろう。