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「流通させない権利」に抗う日本人

ガラパゴスリモコン」の終焉〜ブルーレイディスクレコーダーはそもそもアメリカで売ってない - 新清士

http://blogos.com/article/36824/
一方で、アメリカのブルーレイディスクレコーダーのボタンはどうなっているのか、気になっている方も多いと思う。実は、ブルーレイディスクに書き出して、自分のものとして保存するという文化そのものがアメリカにはない。そのため、そもそもそうした製品がない。

この手の話は、MOが普及し始まったときも言われたし、CD-Rが普及し始まったときも言われてたし、DVDレコーダーが普及し始まったときも言われてた。こんな話は今に始まった話ではない。
20世紀末にはすでに「日本だけの現象」「文化の違い」なんていう風に言われていた。

MOが売れるのは日本だけ。CD-Rが売れるのは日本だけ。DVDレコーダーが売れるのは日本だけ。
とにかく「記録媒体やレコーダーが売れるのは日本だけ」という話が何度も出ては消えていった。

映像コンテンツにしても、アメリカではケーブルテレビが普及していて、同じコンテンツを何度も何度も放送するから保存して手元においておく文化なんてないのだ、と。

手元に残す文化がないからオンデマンド配信に簡単に進化できた、とも言えるのではないだろうか。
ここにアメリカの合理性が加わり、動画配信はYouTUBE、Huluと普及してきたのではなかろうか。
インターネットラジオ音楽配信電子書籍など、盛り上がりの差はあれ、かなりのインパクトをもって普及を始めた。
(最近電子書籍はちょっと怪しくなって来てる?)

ユーザーが、いつでもほしい番組を見ることができると保証されることに慣れ、コンテンツを手元に所有する必要性がないと考えるようになると、環境は激変するだろう。

この手の話はいろいろ議論が長引くんだけど、行き着くところはココ。

日本の場合、本にしてもCDにしてもビデオにしても、とにかくすぐに絶版、販売終了になる。
コンテンツ販売をする側に「流通させる権利」があるのは当然の話なのだが、これが「流通させない権利」に転じてしまうと消費者はどうしようもない。再販制度に守られているようなコンテンツまで流通しなくなってしまう現状から考えても「ユーザーが、いつでもほしい番組を見ることができると保証されること」なんて到底起こりえないだろう。

簡単操作で、コンテンツそのものが見ることができればいいや、という人にとっては、何年かで、必ず、ぶっ壊れる運命にあるハードディスクといった物理メディアを後生大事に持っている方がリスクへと変わる。

この感覚は日本人にはなじみにくいだろう。日本人はモノを大事にし、丁寧に扱う事を小さい頃から教わって大人になる。アメリカのなんでも使い捨てる文化には抵抗を感じる人も多いだろう。そしてもう一つ。日本は「わび・さび」の文化がある。古いものを大事にする文化だ。映像だって昔撮った8mmフィルムをVHSに、VHSをDVDに、DVDをブルーレイやHDDに、一生懸命丁寧にコンバートして保管している人も多いだろう。お気に入りの音楽だってレコード盤やテープをCD-Rに記録したり、MP3化したりしているだろう。
今流行のクラウド化だってそうだ。
DropboxEvernoteは確かに便利だが、放り込んだデータをずっと任せておけると日本人は思うだろうか。クラウドサービスを提供している会社の寿命とブルーレイやDVDなどの媒体の寿命。どっちが長いと考えるだろうか。
インターネット検索の魁となったヤフーや帝国といわれたマイクロソフトですら、全盛期を過ぎた感は否めない。もちろんほとんどの人はこれらの企業の創生期を知る人は少ないだろうし、多くの人が知ることになるのは1995年以降のことだろう。それを考えると、一般的な人の感覚からすると、ヤフーやマイクロソフトはサービス開始してから20年たっていない、と考えてしまうのである。
なーんだ、CDより寿命が短いんだね、と思うだろう。レコードの方が長持ちだね、と思うかもしれないぐらいのものなのだ。
写真はその際たるものだ。
これだけデジカメが普及して、デジタル化の環境が整っているにもかかわらず、撮った写真をクラウドに預けて一安心、と思っている人はどのぐらいいるだろうか。プリントはしないまでもHDDや記録媒体に保存しているのではないだろうか。それもこれも子どもや孫に見せたい、と思える思い出の写真だからこそ手元に置いておきたいと思うのだ。
東日本大震災津波で何もかも流された被災地でも、アルバムを掘り起こしては持ち主の元に返そうと言う動きが多数見られた。一見すると「こんなことがあるからこそクラウドだ」と思うかもしれない。しかし、これほどの大規模な震災が起こる確率と、クラウドサービスが存続できなくなる確率を考えてみよう。きっとクラウドサービスが存続できなくなる確率の方が高いはずだ。
「流通させない権利」をわざわざ他人にあげちゃうことはない。自分のことは自分でやる。これが日本の文化だと思う。
もっとも、リモコンがどうしようもない位ダメなのはすごく同意できる。おれに設計させろ、といいたくなるぐらい酷い。