地方ローカル鉄道を学ぶと映画の観客が増える?

映画料金が何円なら利用回数は増える? 1000円がポイントに

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1206/15/news058.html
現在、一般的な映画料金は1800円。「高い」という声も少なくないが、映画料金値下げと鑑賞回数の変化について調べたところ、映画料金が1500円になると19.1%が「鑑賞回数が増える」と回答、1000円だと55.3%、800円だと67.6%、500円だと77.5%と変化した。映画料金が1000円以下になると、鑑賞意欲に大きな差が生まれるようだ。

映画って、不調になるとすぐに料金の話が出てくるわけですが…実感として1800円は確かに高いように感じる。消費する時間や映画を見た後の満足感を考えると「ランチ1回分」あたりが適正なんじゃないかなぁ、なんて感じるわけで、それを考えると1800円が高い、と感じてしまうのだ。さらにジュースやお菓子を買えば数百円が上乗せされるため2000円はゆうに越えてしまうだろう。

しかし、映画って料金だけが問題なのだろうか。それを考えたとき、ど田舎に住んでいる私は「映画って地方のローカル鉄道に似てる」と感じてしまうのだ。

  • 遠い

都市部に住んでいる人なら感じないと思うけど、かなりの田舎に居てもコンビニはかなり身近にあるし、ホームセンターやファミレスのようないわゆるロードサイドのお店もそれなりに近くにあることが多い。しかし、映画館はちょっと遠い。車で30分以内ならかなりマシだろう。1時間や1時間半かかるというケースもある。映画1本のためだけに往復2時間や3時間もかけるのは労多くして得るものが少ないと感じてしまうのだ。
これは地方ローカル鉄道における「駅の遠さ」に通じるものがある。都市部では徒歩10分以内で何らかの駅に着くことが多い。悪くても徒歩15分以内である。つまり、最寄り駅まで概ね2km以内ということを意味する。しかし、地方は駅間自体が5km以上もあることが多く、網の目のように鉄道網があるわけでもない。つまり、最寄り駅から遠いのだ。いくら運賃を半額にしますといわれても、駅から遠くては利用しないだろう。映画館に客足が向かないのも同じ理屈である。

  • 本数が少ない

上映本数は5本〜8本/日。2館同時上映と計算しても倍の10本〜16本/日である。つまり、多めに見ても1時間に1本しか上映開始しないと言うことだ。オンデマンドのサービスに慣れてしまった現代、最悪2時間待ちと言うのではとても待てない。
これも地方ローカル定道と同じだ。都市部の鉄道なら数分から10数分待てば電車がやってくるが、地方ローカル鉄道では1時間や2時間に1本しか電車が来ない。結果「不便」ということになり、利用客が離れる原因となっている。これもまた地方のローカル鉄道と状況が似ている。


と、いうことは、逆に考えれば、地方ローカル鉄道の活性化策をまねれば映画の観客が増えるのではないだろうか?

  • 近くする

大都市に1つ2つと作るのではなく、コンビニのように10席〜20席程度の小さな映画館をたくさん作ればよい。そうすれば映画館が身近になり、気軽に行くことができるだろう。映画館に足を向ける層と客層が近いであろう、レンタルビデオ店並の店舗密度は欲しいところである。
そうはいってもそんなに映画館を増やしたら設備投資や人件費が膨大になって採算が合わなくなるのではないか?という疑問が生じる。
まずは視聴環境だ。これまでどおりの大スクリーン&ド迫力のサウンドで楽しみたい人は、従来の映画館に行ってもらうしかないだろう。しかし、今までちょっと足が遠のいているお客に来て欲しいという場合はこのお気軽お手軽な映画館で十分である。最新のヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンで、擬似的に大スクリーンとド迫力サウンドを楽しんでもらうことにする。
次に映画そのものの配給である。最近の映画はフィルムではなくデジタルデータで配給されるケースもあるので、技術的に大きな問題はないものと思われる。どうせ映す先は大スクリーンではなくヘッドマウントディスプレイだ。大スクリーンに耐えられるような高解像度である必要はないだろう。おまけにヘッドマウントディスプレイで視聴することを前提にすれば、盗撮問題もおきにくいし、3D対応だってどうせメガネをかけるんだから一緒である。

  • 本数を増やす

ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンで映画を見ると言うことは、ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンの数だけスクリーンがあることと同じである。しかも、映画がデジタルデータで配給されると言うことは、10本や20本程度ならいつでも映画を上映開始できると言うことである。いわばオンデマンド上映。待ち時間が要らないんだからストレスもない。また、映画を見ている最中は基本的におしゃべりはしないんだから、目と耳をふさいでいても問題はないはずである。


たったこれだけ。映画配給会社がデジタルデータで全国何万店という映画館に映画を配給することでマスターデータそのものが漏洩する脅威が増す、という話が出てくるかもしれないが、全国区のコンビニチェーンがやれば店内のジュースやお菓子も売れるだろうし、レンタルビデオチェーンがやれば、旧作のレンタルビデオと合わせてセールスがやりやすくなるだろう。
ツタヤやタワーレコードのような、セル中心の店だったら、いっそのことCD売り場をミニ映画館化してしまってはどうだろうか。CDはこれからますます売れなくなるだろうから、空きスペースの活用にももってこいだろうし、音楽ファンと映画ファンは客層が重なる部分も多いだろうから、映画を見終わったあとでサウンドトラックCDを買ってもらうきっかけにもなるだろう。
悪くない話だと思うんだけどなぁ(笑)