期待することは結局伝統的な大黒柱

特集ワイド:草食男子と肉食女子 「がっつき」逆転現象

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090121dde012040009000c.html

 「草食系男子『お嬢マン』が日本を変える」(講談社)の著書があるマーケティングライターの牛窪恵さん(41)は、20代半ばから30代前半の男性約100人にインタビューした経験から、広い意味で草食男子をとらえると、現在、20代の約7割を占めると感じている。草食男子が増えた原因として(1)兄弟が少なく、受験競争も緩和された世代のため、デリケートで傷付くことを強く嫌う(2)バブル経済の崩壊で経済神話が崩れたうえ、年金問題で競争に敗れた場合のセーフティーネットがないと感じている(3)ライブドア堀江貴文・元社長が逮捕された事件で、若者が「出るくいは打たれる」と痛感し、「そこそこやっていればいいや」と草食化に拍車がかかった−−などが考えられるという。

もともと日本人はそんなに恋愛上手じゃなかったし、恋愛感情で好きならくっつき、嫌いになったら別れる、ということを良しとしなかった。むしろ結婚生活や子育てをまじめにきちんと行うことが基本的な評価だった。このぐらいの広義の意味での7割の男性が草食系、と言うことであろう。

 一方、「草食男子」という言葉を、初めて紹介したコラムニストの深澤真紀さん(41)は、人数が増えたわけではないとの見方だ。「男には、肉食8割、草食2割が常にいたと思う。でも、かつては肉食に向いていない人も社会的に、表面上は肉食ぶる必要があった。ところが、バブル世代の女性が景気の高揚によって男性並みになることが許され始めたように、男性は景気が悪くなったことによって女性並みになることが許されるようになった。それが表面に出てきた」と分析する。

男性8割が肉食、というのは相当偏っているなぁ、というのが私の実感。若い世代でがっついている男性はまぁいいところ3割、ちょっかいを出すところまで含めても半分といったところか。弱い女性が男性並になることは良しとされても、強い男性が女性並になることが遅まきながら許されるようになってきたのは基本的には良いことであり、これがあって初めて男女平等の精神、という事になるのだと思う。

 深澤さんは「不景気による女性の保守化は、より良い条件の男性を求める『肉食化』につながっていると思う」と話す。背景にあるのは「男社会の中で、女性の地位が低く、働く女性が報われない現実」だ。

コレはまるっきり見当違いのように思える。深澤氏の言う「保守化」とは何を言ってるのだろうか?

 深澤さんは「つまり女性にとって社会システムがよくできていないわけです。女の人には、根深いあきらめの気持ちがある。派遣の人が婚活するのをバカにするのはいけない。年収200万円の派遣とか、未来がなさ過ぎる」。

女性にとっての社会システムがより良くなっていってることは間違いない。しかし、それ以上に良かった男性の社会システムが崩壊していくスピードのほうが速いのだ。この言い方だと、あたかも派遣労働者は女性ばかり、年収200万円で我慢しているのも女性ばかり、といわんばかりである。問題の核心はそこにあるのではない。
確かにいまの社会システムは女性にとって良いものではないかもしれない。しかし、女性には「結婚に逃げる」という人生の選択肢があり、それで救われてきた。
しかし、いまはどうだろうか。女性が逃げる先であるはずの男性(の社会システム)の方がものすごい勢いで崩壊しているのだ。いままでは女性の数だけ、逃げる先としての男性という安全な「椅子」が用意されていたが、いまは違う。安全な椅子はどんどん減っている。いまどきの女性は、男性が寄って来るのを待っている間に座れる椅子がなくなってしまう危機感があるのだ。それを感じ取った女性が肉食化しているのだ。もちろん、結婚に重点をおかない女性もいる。そんな彼女らは肉食化する必要は無い。これまでどおり草食として人生を送っていればいいから目立たないだけなのだ。
むしろこれから求められるのは女性の肉食化だけではない。女性の大黒柱化なのだ。そこまで担おうという意気込み、義務感、使命感があって初めて男女平等という事になる。それが無ければ、ただの「積極的な依存者」に過ぎない。

 「なぜバブル時代に、ワンレン、ボディコンで、短いスカートを履き、濃い化粧をしていたかといったら、結局男の人にモテたい、寄ってきてほしいという仕掛けだったわけです。当時は、男の人も、それに素直に飛びついていた。でも今は、男の人が傷付くのを警戒してあまり寄って行かない。そこが違う」

女の人が傷つくのはダメで、傷つき役は男でなければならないのか。
まぁ、それはともかく、いまは「逃げる先」の男自身の生活がまともに成り立たなくなってきている。もちろん恋愛の駆け引き上の問題もあろう。しかし、男性は結婚するに当たり、大黒柱化を当然のごとく期待され、意気込み、義務感、使命感を期待される。そして、その期待に応えようという男性は多い。しかし、現実には無理な状況におかれている男性が多くなってきているのだ。とても女性に飛びついていけるような状態ではない。

 東京都内の私立大大学院1年の女性(25)は、「雑誌の中の組み合わせをそのまま再現して、ピンクやベージュのいかにも女の子らしい格好で合コンに通ったり、女性誌の『彼氏をつかまえる』というマニュアルをしっかり見て、合コンではスカートに胸元の大きく開いた服を着て、食事を取り分けたりといった男の気を引くといわれる行動を実践している子がたくさんいる」と話す。そうした女性たちは「20代で結婚して、大きなマンションに住んで、可愛いお母さんになりたい」と話すなど、キャリア構築よりも、恋愛や結婚に向けて努力する傾向が強いと感じるという。

恋人募集ならそれでもいいだろう。しかし、結婚相手を見つけようと思ったら、ファッションも大事だが、男性の大黒柱化の負担を軽減する「良妻賢母」をアピールしたほうが効果的ではないだろうか。男性は一家の主としての大黒柱。女性は家庭を支える良妻賢母。きわめて伝統的な日本の価値観なのだが、男性はいまだにここに縛られているし、それを女性から期待されている。男性に大黒柱化を期待するのであれば、女性も良妻賢母化することをアピールしなければ獲物は獲られない。
恋人募集、というのならなんでもありだろう。怪我するなよ、というぐらいしかない。強い者がリードすればいいのだ。男も女も関係ない。