「海外に投資しませんか?儲かりますよ」並みの話

海外勤務命令に従ってくれる社員をどう確保するか

http://www.j-cast.com/kaisha/2010/10/22078842.html?p=all
そこで海外勤務に対応できる人材を増やしたいのですが、国内向けの仕事が多かったこともあり、社員からの抵抗も小さくありません。これまでは少数の案件に対して希望者は十分足りていたのですが、今後は不足も予想されます。
先日も業績優秀な数名を選抜して、成長著しいアジア地区への赴任を打診したところ、若手のA君が「治安が悪いので親が反対している」、主任のBさんは「子どもの教育があるので」という理由で断りを入れてきました。
業務命令なので説得して行ってもらう場合がほとんどですが、中にはどうしても行きたくないと異動を申し出たり、退職したりするものまで出ています。彼らをどう説得するかは、まだ決めていません。

この記事を読んで真っ先に思いついたのが、この表題。

で、それに対する私の答えは一つ。
「じゃあ、お前が行けよ」「お前が海外に行って働いて、儲けの半分オレにくれよ」
だ。

これはよくある投資話に対する断りの常套句なのだが、これをそのまま当てはめられるぐらいひどい話だ。

「命令に従ってくれる」「社員を確保」って…
社員を将棋の駒や戦国シミュレーションゲームの1部隊のようにしか見ていないばかりか、これをやらせる会社側は「俺は絶対行かない」「自分は安全な所から高みの見物」「ハイリスクローリターンの命令に従ってくれる社員をどう確保するか」という程度の感覚だからこんな発言を躊躇なくさらしてしまうのだ。

インセンティブとしては、給与や手当てを保障し、帰国後のキャリアパスを整備しておくことも不安の緩和につながります。海外勤務経験者を主流の役員として抜擢するなど、形として示すことも考えられます。また、社長が海外戦略の必然性を繰り返し説明し、組織に浸透させていくことも重要です。

海外での生活に対して、会社が全面的にバックアップする姿勢を示すことが、海外勤務に対する不安を取り除く有効な手段です。単身赴任の場合は、身の回りの生活雑務を支援し、日本との連絡手段を取りやすくしたり、帰国の機会を定期的に確保したりするなどの配慮によって安心感を得やすいでしょう。

なんだかんだいって会社側は海外に飛ばしてしまえばそれまで。そんな事を会社側はやり続けてきたから「だまされた」「約束を破った」と社員側は怒り、不満をぶちまけ、周囲に「海外なんて行くもんじゃない」と喧伝する事になる。
会社側だって「約束を破りたくて破ったわけじゃない」と言い訳するだろうが、そんな言い訳にまともに耳を貸すはずがない。海外に行って働く人は「都合のいい人」「利益を運んでくれる人」程度の扱いをしてきたツケが回ってきたのだ。

会社は社員を守ってくれない。
この原則が広く浸透した現在、誰が好き好んでハイリスクローリターンの仕事を請けるだろうか。

どうしても海外に飛ばしたいなら、10年分の給料を海外赴任手当てとして先払い+海外赴任に係る生活費用全部会社持ち+3年以内に元いた部署に戻る事を保障、ぐらいの事をやらないと積極的に海外に行ってみようとは思わないだろう。

会社としては儲かるから海外に人を出したいんですよね?
だったらその果実を確実に社員に還元する事を見せなければ、こんな仕事は誰もやらないだろう。
やる気の問題に矮小化してはいけない。
社員は「だまされないぞ」という所から考え始めるのだから。