医者も人間。働ける時間は8時間。足りないというなら人を増やせ。

総務省が5年前に行った調査では、1週間に60時間以上つまり平日5日勤務した場合は、1日平均で12時間以上働いた人の割合が、医師は41.8%に上り、すべての職種の中で最も高くなっています。

どう見ても労働時間が長すぎる。

厚生労働省によりますと、医師の場合、当直勤務や容体が急変した患者への対応、それに長時間にわたる手術や診療で勤務時間が長くなる傾向にあるということです。

 医師という職業の特性上こうなることはある程度仕方のないことだと思う。だからこそ、普段の労働時間はより短いものとし、いざという時のために温存するぐらいの体制でなければならないと思う。

医師も労働者であり規制をきちんと設けるべきだという意見がある一方で、医師が少ない地域では、規制を厳しくすると必要な治療が受けられない患者が出るという意見もあり

 「医師も労働者」という考え方に大いに同意する。一方「規制を厳しくすると必要な治療が受けられない患者が出る」という考え方は非常に危険だと思う。極端な話、患者を救うために医者は死ね、という意見だ。これまでの「お客様は神様だ」という誤った解釈を地で行くひどい話だ。
これからの時代は「持てるリソースの中で救える人だけ救う」という考え方になっていくだろう。
「みんな揃って共に不幸になる」という悪平等の考え方では納得しないだろう。
ひどい言い方かもしれないが、生まれたての子供と死ぬ間際の年寄りでは命の重さが違うということだ。災害や事故があったときには「まずは女・子供から」と相場が決まっているのは男性より女性や子供のほうが価値が高いという証左である。

「これまでは、長時間の勤務は宿命だと受け止めてそこに誇りを感じる医師も多かったが、今回のような過労自殺を防ぐためには、産婦人科の医師を増やす必要があり、国は対策を検討すべきだ」

 全くもってその通り。医師を増やす以外に道はない。10年以上前からずっと言われ続けていることである。
しかし…

医師の絶対数の不足に対して「一定の手当て」が行われていて、順次、効果が表れてくる

 医師不足の本質は「医師の地域・診療科偏在で、これらの解消こそ喫緊の課題」

 と、日本医師会と全国医学部長病院長会議は相変わらず、医師不足を否定する。
医師不足の数は1000人2000人の桁ではなく、2割~3割、つまり、3万人とか5万人という桁で不足しているのだ。

医師会などは「医師が増えすぎれば過当競争で医療の質が低下する恐れがある」として、医師数を大きく増やすことには反対の立場だ。

医師会は口を開けばすぐこれだ。ならば、コンビニより多いと言われる歯医者の質は落ちただろうか。私の感覚ではNoだ。全く落ちていない。それどころか競争が激しくなってより患者本位の歯医者が増えているとすら感じる。

医療費は年数千億~1兆円程度増えており、「大きな要因は医師数の増加」(印南一路・慶応大教授)という指摘もある。

 医療費を無競争で独占したいから医師を増やしたくないのでは?と勘ぐってしまいたくなる。ましてや、同じ高給取りの職業と言われた弁護士が大幅に増加したことで収入が減ったとも言われている。しかし、裁判が増えすぎて困っているわけではないところに増やした弁護士とは根本的に違う。多忙を極める医療の世界で医師を増やすことはすべての人にとって幸せになれるはずだ。医師会はもうちょっと「市場開放」をすべきである。