フランス出生率が欧州1位、非嫡出子が半数超える

http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2336860/2525883

2007年のフランスの出生率が、アイルランドを超えて欧州1位となった。一方、結婚していない両親から生まれた子ども(非嫡出子)が半数を超えたことも分かった。フランス国立統計経済研究所(INSEE)が15日、発表した。

至極当たり前。

 社会学者Irene Thery氏は仏大衆紙パリジャン(Le Parisien)に対し、「革命的変化の論理的帰結だろう。家族を形作るのは徐々に、結婚ではなく子どもになりつつある」と語った。

この学者さんの言わんとするところは良く分からないが、「結婚したから子どもが生まれる」というのは結果論であって、本質的には「子どもを生むために結婚する」なのだ。

 公立学校に3歳児から入学できるなど出産を支援する公共政策や、乳幼児を親族に預けやすい環境などが出生率上昇に寄与しているとみられる。

効果はない、とは言わないが、恐らくこれは出生率増加の理由としては2番以下だと思う。

1番の理由は他でもない。非嫡出子をフランス社会が認めるようになったから出生率が上がったと考えた方がはっきりと説明がつく。
それは、男性と女性の子どもを生む(=子孫繁栄)のための基本的戦略の違いだけで話が片付くからだ。

男性の戦略は質より量。たくさんの女性に子種を仕込む。おしまい。究極的に子育てコストはゼロに近づく。そのために結婚制度は大きな足かせとなる。結婚したら妻以外の相手に子種を仕込む事は困難になったり、リスクが高くなったりする。これでは子どもは増えないからだ。

女性の戦略は量より質。妊娠したら10ヶ月もの間、自分の子どもをおなかに抱える。子どもの栄養源はすべて母親。がんばればがんばるほど己の命が危なくなる。ならば、少ない人数で質の良い子どもにしようと思うのは当然の成り行き。質の良い子どもにするためには、人、物、金を大量に投資しなければならない。最近は旦那だけの投資では足りず、夫婦の両親、地域住民まで巻き込んで自分の子どもに投資をしてくれ、という社会になってきている。子ども一人当たりのコストはうなぎのぼりで、もう支えきれなくなっている。つまり、女性の戦略に基づいた子孫繁栄は破綻寸前なのだ。

しかし、フランスは非嫡出子を認めた。つまり子育てコストを下げる事が出来たのだ。

この子らが、女性の戦略に基づく質のいい子どもになるかどうかは分からないが、
それなりに育てば、大人になって稼ぎ手になってくれる。いないよりはるかにマシなのだ。

日本はどうか。非嫡出子を認める事が出来るか?
恐らくこれは年寄り世代が反発するだろう。自ら育ってきた夫婦、結婚生活の基本を完全に無視するからだ。下手するとそれどころか、いままで蔑んできた「シングルマザー」「片親」という存在まで認めなければならなくなる。しかし、若い世代は…特にも女性は自らの力で稼ぐ手段を勝ち得た。理屈上、男性は居てもいなくてもいい存在になった。男性は否応なしに社会に組み込まれ、下手すれば過労やストレスで死ぬ。しかし、退路はない。家庭に逃げるという選択肢は無くなったのだ。女性はどうか。退路がある分、子育ての義務を背負い、新しい命をはぐくむ。男が社会で死に、その穴を埋めるべく女は命をはぐくむ。ひょっとしたら、これが新しい男女平等の姿なのかもしれない。