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ワークライフバランス「根付かない」が約半数--業務効率化には社員・企業ともに努力が必要

http://japan.cnet.com/research/column/insight/per/story/0,2000091177,20368998,00.htm

 ワークライフバランスという考え方についてほとんどの人が必要だと答えており、それを実現するためには「仕事の効率を上げる」「残業はあたりまえと考えている企業体質を改善する」と考えている人が多い。

この考え方を実現方法として挙げている時点で経営側の思う壺。どんなに効率を上げてもそれを上回る仕事量があれば結局は同じ。

「ノー残業デー」に定時で必ず仕事を終わらせている人は40.2%おり、「時々、終わらないときがある」とあわせると8割以上の人は「ノー残業デー」を利用していることがわかった。「ノー残業デー」という制度はその目的を果たしているといえる。

ところが、ノー残業デーには効果がある。残業をしないように、と思えば残業はしなくていいようだ。つまり、8割以上の人はしなくてもいい残業をしている、ということになる。
これはどういうことなのか。

残業が減らない理由は個人がどのような考えを持っているためか聞いてみたところ、「時間内に仕事が終わらなければ、残業すれば良い」という考えや「周りの人が残っているのに、自分だけ早く帰るのは後ろめたい」という考えが多かった。

個人サイドは「終わるまで仕事をする」「帰りにくい」というきわめてあいまいな環境の下で仕事をしていることになる。

一方で、企業側がどのような考えを持っているためか聞いてみたところ、「社員が残業するのはあたりまえ」という考えや「就業時間だけ働いていても競争に勝てない」という考えを、企業は持っているのではないかという意見が多かった。

企業サイドが「残業は当たり前」なんていうのはもってのほか。いや、本音ではあるまいが、経営者として労働側にはそう言い続け、いい意味で「騙し」「不安を煽り続ける」る必要がある、といったところだろう。
そしてまた経営側も不安だから「競争には勝てない」と不安におびえることになる。

ぶっちゃけ、労使双方これでは残業はなくならない。いや、むしろ、あってありがたいと感じている人も多いのではないだろうか。
ワークライフバランス重視の人にはそれがとても迷惑なのである。

では、どうやったら残業を減らせるのか。

労働側はその解決策として「仕事の効率を上げる」と騙されてくれているのだから、これを利用しない手はない。しかし、その前提が守られていないから「仕事の効率を上げる」なんていう事はせず「時間内に仕事が終わらなければ、残業すれば良い」という発想になってしまうのだ。

その前提とは、いまさらいうまでもなく「会社側が個人の仕事の範囲、量を明確にする」ことだ。パートやアルバイトは比較的時間通りに出退勤できている。彼らの仕事範囲や量は比較的明確だからだ。あとは効率を上げれば労働時間はどんどん短くなる。ヨーロッパの労働者の仕事時間が短く、休暇も取りやすいのは、仕事の範囲や量がある程度明確、かつ同じ仕事に何年も従事する。日本のように数年で異動なんていう事が少ない。故にどんどん効率が上がっていくから、短時間でたくさんの良い仕事が出来、結果所得も上がる、ということなのだ。

もうそろそろ日本の会社も数年で部署異動、せっかく覚えた仕事をパーにして一から覚えなおし、なんていうばかげた事を繰り返した挙句、中途半端な知識だけのゼネラリストを量産するのはやめた方がよいのではないだろうか。日本人は本来、一つの事を極める「道」が文化的にも精神的にも合っていることだし。

そしてもう一つ。

  残業を減らすためにどのようなことを行っているのだろうか。その方法を聞いたところ、「集中する時間と弛緩する時間のメリハリをつける」と答えた人が最も多く49.0%、ついで「一日のスケジュールをしっかり組む」と答えた人が43.6%となった。どのようなツールを用いて仕事の効率化を実現しているか聞いたところ、65.8%の人が特に何もしていないと答えた。会社には利用すれば効率化につながるツールがたくさんあると思われるが、仕事の効率化という観点では、あまり利用されていないのが現実のようだ。

ツールを何故使わないか。
どこにでもいる「変化を嫌う年寄り連中」が妨げるからに他ならない。さすがにいまさらキーボードも叩けない、なんていう人はいないだろうが、ちょっと前までは「社内で一人一台パソコン配備」なんてやっても変化を嫌う年寄りは「こんなの使いたくない」とかたくなに拒んだ。
また、前例主義が新しいツールの使用を妨げる。こんなの使ったことないから…というだけでツールの使用を否定される。
そして、最大の原因が「ツールを使った人にメリットがない」ことだ。
せっかく創意工夫をしてツールを使い、業務を効率よくこなせるようになっても、その人の評価が上がるわけでもないし、給料が増えるわけでもない。待っているのは効率向上に伴って時間が空くことによる「仕事量の増加」なのだ。仕事の範囲、量が明確でない以上、こうなるのは自明。これでは本気になって効率向上をしようとは思わない。結果、「集中する時間と弛緩する時間のメリハリをつける」というような仕事の効率向上ではなく「自分自身の心身のゆとりをいかに確保できるか」というところに目が向くのもまた当然の結果である。

全社的に「個人の仕事の範囲、量を明確にする」という目標を達成した上で、「ツールを使って効率を上げた人に報いる」という制度まで確立しないと残業は減らないわけなのだが…
経営側は「何でもいいから人件費削減」なんていっているうちは絶対に「仕事範囲の明確化」「報償制度」なんてやりたくないだろう。仕事量という分母を無限に増やさないと人件費という分子は増やせない、としか考えられないからだ。
「無限のワーク」という幻想を捨てない限り「豊かなライフ」はありえない。