妊婦搬送7病院が拒否、出産後に死亡 東京

http://www.asahi.com/national/update/1022/TKY200810220044.html

 都によると、女性は今月4日、頭痛などの体調不良を訴え、江東区のかかりつけの産婦人科医院に救急車で運ばれた。かかりつけ医は脳内出血の疑いがあると診断し、午後7時ごろから電話で緊急手術ができる病院を探した。しかし、都立墨東病院墨田区)など7病院から「当直医が他の患者の対応中」「空きベッドがない」などと次々に断られたという。

このニュースは、「妊婦」の「たらいまわし」が「日本で医療が一番充実している」「東京」で起こった、という方に意味がある。
いままでは、福島だ、岩手だ、奈良だと地方では半ば当たり前になった「たらいまわし」だけど、心のどこかで「これは地方の話。東京は大丈夫」と地方の人も東京の人もそう思っていたのではないだろうか。残念ながら、この手の事件は地方で起こってもほとんど話題にならない。しかし、ひとたび東京で起これば、それは全国ニュースとなって全国隅々にまで響き渡る。ここで変わらなければ日本の医療は終わる。医師の絶対量が少ないことが問題だけど、それだけではないと思う。患者は24時間診療、高度医療を受けたいという。かたや医師側は個人で開業して収入を増やし、救急患者や入院患者を受け入れず、人間らしい9時5時の生活をしたいという。どちらも当然の話。結論から言えば、病院は10人程度以上の常勤医師を確保しなければ開業できない仕組みづくりにするしかないのではないだろうか。その上で、全病院救急患者受け入れと24時間営業を義務化。その代わり、10人の医師を食べさせていけるだけの人口がいない田舎に病院はなくなる。田舎の民は選択を迫られる。身近に病院がなくなる代わりに比較的近い場所に24時間高度医療が確保されている状態がいいか、身近に病院がある代わりに、救急患者も受け入れなし、高度医療も入院もなし。都市部と同じものは望めない。一番怖いのは、都市部の患者が医師を訴え、その余波で地方の医師が萎縮して廃業したり都市部に引っ越してしまうことかも知れない。

まじめに「24時間診療、医師2人常駐の病院」というものを考えてみよう。
勤務ローテーションを考えると、単純に週休二日制で常時2人の医師が3交代で勤務することになる。8時間=1コマとした場合、医師が勤務する持ちコマは週5コマであるため、週42コマを全部埋めるには8人では足りず、最低9人の医師が必要である。実際は祝日などもあるので休みはもっと多くなることから1つの病院で医師10人は最低限必要だと思われる。これを満たした上で、さらに専門科目の制約が出てくるので、これだけを考えてみても24時間対応の医療現場というものがいかに大変かがよくわかる。