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【正論】地方活性化が進まない真の理由 精神科医・国際医療福祉大学教授 和田秀樹

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081211/trd0812110325000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081211/trd0812110325000-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081211/trd0812110325000-n3.htm

 野球の世界でもアメリカ型の戦力均衡の声が地方からあがらないのは、東京にマスメディアが集中し、東京の考えに染められているからだろう。同様に東京にメディアが集中しているため、東京の論理で政治が進められる。

これになぞらえて言えば、観客を呼べる・利益が出るのは読売ジャイアンツだけだから、読売ジャイアンツさえ強ければいいんだよ、後は生贄になればいい、っていうことなんじゃないかと。これが東京の論理。

 しかし、これでは地方の教育レベルは上がらない。

 やはり地方に優秀な人材の就職先を移していくのが政治というものではないだろうか。たとえば、東京大学が東京にある必要はない。ハーバード大だって、ニューヨークからすると東北地方にあたる場所に位置している。

東京の論理はそんなに簡単じゃないだろう。
おそらく東京の論理って言うのは「何で地方の教育レベルを上げなければならないんだ?学校なんて行かずに百姓やるか出稼ぎして期間工にでもなってろ」っていうことだろう。東京人の存在を脅かすような人は育って欲しくないはずで、願わくは都合のいい奴隷になって欲しい、とでもいったところだろう。だから何でも東京に集中させる。
本当に地方の教育レベルを上げたいのであれば「東京になくて地方にある」という条件を満たさなければならないことになる。しかし、今の日本ではそうはならない。地方でできるものは東京でもできるんだから東京に作れ、とか、経済的にも効率的にも東京にあると便利だよね、という「正論」が通るからだ。
百歩譲って、国がそう考えて、国の有力な国立の学術機関を地方に作ったとしても、それを見た東京都が「都内にも必要だ」ということで都立の同じような機関を作るだろう。

 国立がんセンターにしても、がんの場合、基本的に待機手術が原則なのだから、東京にある必要はない。

だから、今の日本ではこれを認める人はいないだろう。
地方に国立がんセンターを作ったとしても、東京にも必要だ、必要としている人がたくさんいる、って言う理屈が通ってあっという間に東京に国立がんセンターができるだろう。すると、東京の国立がんセンターのほうが医学レベルが上がって、東京の国立がんセンターの方ががん治療のメッカになる。

 このように国立だけでも優秀な人材の就職先を地方に分散させることができれば、地方の活性化だけでなく、地方の教育熱を高めることができる。実際、つくばの学園都市ができてから、つくば市や近隣の土浦地域からの東大合格者数は激増している。

これは感覚の違いなんだろうけど、私のような超のつく田舎民から見たら、つくばや土浦なんて地方じゃない。TX一本で都心でしょ。せめて関東関西東海以外の札仙広福より小さい、東京から日帰り圏じゃない都市に日本で唯一無二の街づくりができるぐらいじゃないと「地方活性化」とは呼べない。

 残念なのは、地方の首長で道路や新幹線(これはストロー現象を起こしてむしろ地方を衰退させている)を要求する人はいても、このような要求をする人がいないことだ。

教育レベルが低いから、そういう要求をするひとが出てこないんだよね。出てきたとしても少数派だから選挙で勝てないし。地方民は補助金っていう麻薬漬けになっているから、すぐに禁断症状が出るし、中央もそれを便利に使っている。

地方に人材がいないままでの地方分権は逆に地方の自殺行為にすらなりかねない。

いま道州制なんてやったら、東京都(州)だけは都市国家として存続し、それ以外は東南アジア並みになるだろう。
まぁ、関西や東海はそこそこ何とかなるかな。
北海道や東北、四国、九州は惨憺たる状況になるだろう。
今の地方に高度教育できる環境なんてない。地方の予算も「市民に優しい行政」「血が通った政治」とか何とかいって年寄りと土建屋の面倒に全力を使い果たして終わり。地方の学力だって私立が引っ張っているところはいいがそうでない地域は旧帝大レベルの大学に何人進学していることか。東大進学者だけ数えたら両手両足の指の数すらいない地域もある。実際、道州制が検討され始まった頃、BRICsなんていう単語はなくて、それに相当するNIES諸国なんていう言い方をしていたが、北海道や東北、四国や九州はそういう立場になれ、そのほうが企業誘致が進んで職場が増える、みたいな話だったはず。これも裏を返せば、地方は永遠に東京の経済力には追いついてくれるな、いつまでも下請けでいてくれ、日本語ができて賃金は東南アジア並みという便利な地域になってくれ、通貨も分けよう、1東京円=0.5地方円な、っていうメッセージだったんだろう。
地方の教育レベルの向上は地方の経済力向上と同時に進めないとうまくいかない。身近に「一生懸命勉強すればいい暮らしができる」っていう見本がないとがんばれない。地方の学力が弱いのは、地方の「富裕層」が公務員だからたいして勉強したいと思わないのだ。大都市は賃金も学力も高い。賃金が高いから学力も高いし、学力が高いから賃金も高い。私の地元の高校生が東京に就職しても、数年すると戻ってきてしまう。ど田舎者がいきなり大都会に入っても競争の激烈さについていけないのだ。それでも都内の企業に就職できればまだマシなほう。多くは北関東ぐらいまでで、それ以上都心に近づくことすらできない。
東京は「自殺行為」じゃなくて殺「地方」をしたほうが美味しいかも。税金を地方で使うのは無駄だと思っているんだから、そう考えるのはたやすい。