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「豊かさはさほどでないが格差の小さい国」などという選択肢は無い

「日本は自信を失っている」74% 朝日新聞世論調査

http://www.asahi.com/politics/update/0610/TKY201006100468.html
現状を「勤勉さが報われない社会」と考える人が69%、「日本人は精神的に豊かな生活を送れていると思わない」人が73%いる。

ここまではよく分かっている。一般的な国民の感覚とそうは変わらないだろう。

今後の日本の進み方については「一生懸命がんばって経済的豊かさを向上させていく」が51%、「ほどほどのがんばりで、ある程度の豊かさを得られればよい」が43%と見方が分かれた。

これが曲者だ。
経済的に豊かで、企業も元気だったバブルの時代。バブル期に社会人だった人は思い出して欲しい。企業が儲かるほど給料は上がっただろうか。仕事が激増するほど給料は上がっただろうか。
そうではなかったはずである。
当時は「少々給料が下がっても良いから仕事を減らしたい」という思いのサラリーマンが多かった。「24時間戦えますか」なんていうフレーズが流行したことを思い出して欲しい。そして「プライベートの時間を大事にしたい」「働く時間は自分で決めたい」ともっともらしいことを言い出したのが「フリーター」という人の出現だった。
バブルの時代というのは金銭感覚の崩壊よりも、労働感覚の崩壊の度合いの方が大きかったのだ。

そして、バブル崩壊。ある意味サラリーマンの希望通り、仕事が減った。これで24時間戦わなくても良くなった…と思いきや、真っ先に減ったのは仕事ではなく社員とボーナスだった。ここでサラリーマンは悟ったのだ。企業というものは業績が良かろうと悪かろうと給料は増やさないのだと。

これでもなお、やっぱりちゃんと働いて稼がなくちゃ、と考えたのが51%、どうせ働いても給料増えないんだからほどほどでいいや、と考えたのが43%と考えるのが妥当だろう。
サービス残業天下りに代表されるように、労働に対する対価としての給与配分が正常に機能していない中、一般庶民はなかなか絶妙なバランス感覚を持っているんだと思う。
このバランス感覚を持った一般庶民に対してこの設問。

一方、「経済的に豊かだが格差が大きい国」と「豊かさはさほどでないが格差の小さい国」のどちらを目指すかでは「格差が小さい国」73%が「豊かな国」17%を圧倒。

この選択肢はひどい。
日本が選べる道は「経済的に豊かだが格差が大きい国」か「経済的に貧しいが格差が小さい国」のどちらかだ。
「豊かさはさほどでないが格差の小さい国」なんていう甘っちょろい選択肢が選べるのは資源国だけだろう。
むしろ「豊かさはさほどでないが格差の大きい国」の方が日本が辿る道としては確率が大きいかもしれない。