読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

速ければいいのだ

リニア計画に異論「速さだけが夢なのか」/神奈川

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1309190015/
速ければいいのか−。「夢の超特急」とうたわれるリニア中央新幹線計画に異を唱え続ける人がいる。

結論から言えば「速ければいい」

引き合いに出すのが超音速旅客機コンコルドのたどった末路だ。音速の2倍を誇り、1976年に実用化。だが、燃費が悪く、飛行距離が短い上に料金は4倍、ひどい騒音も快適な空の旅とは程遠かった。2000年、パリ郊外の空港で墜落事故を起こし、終焉を迎えた。

「鉄道などの旅客事業に求められるのは利用者に喜ばれるか否か。さらに投資が回収可能な採算に乗るかどうか。利用者、事業者双方に望ましいプロジェクトならば成功する」

これはごもっとも。
燃費が悪くて距離も短くて料金が4倍じゃ話にならない。
でも、リニアはどうか。燃費は新幹線より悪いだろう。ただ、これが致命的かどうかと言われると、そうでもない気がする。
距離はどうか。当面は東京〜名古屋間ということになるだろうから、十分な距離なのではないだろうか。東京から大阪へ向かう人のかなりの部分がリニアを使うだろう。
料金はどうか。これは未知数。新幹線の2倍を超えたらダメだろう。のぞみの数千円上乗せ程度なら十分戦えるのではないだろうか。

ただ、リニアの売りは速さだけだ。ルートの8割がトンネルで、車窓から富士山の風景も楽しめない。利用者のニーズを理解し、ほかの価値よりも高速性が求められているのだから、リニアを選択したという哲学が感じられない

私はそうは思わない。
のぞみに乗ってみると乗客の多数がビシネスマンであり、外なんか眺めちゃいない。みんな寝てるかスマホいじってるかパソコンいじっているかのどれかである。
リピータになればなるほど外の景色は見慣れた風景になる。
ましてやわずか40分で終点についてしまう速さなのだから「ちょっとそこまで」という感覚で終わってしまうだろう。2時間もかかるから外の景色を眺めないと飽きちゃうのであって、40分なら飽きる前に終点に着くだろう。駅弁が売れなくなると言われているのもこのせいだ。40分で終点に着いちゃうなら、ちょっと我慢してリニアを降りてからごはんを食べるということになるだろう。フライト時間1時間程度の国内線で機内食が出るわけがないのと同じ理屈である。

「本当に素晴らしい技術ならとっくに実用化されている。もうどの国も興味を持っていない」

アメリカは国土が広すぎて速度不足だろうし、都市が遠距離であちこち散らばっているから一本道にはならないだろう。
ドイツは日本と近い国土だと思うが、人口が少ないし距離も短い。ハンブルグ〜ベルリン間なんて、日本で言えば博多(福岡)〜広島みたいなものだろう。そして、ドイツも多極分散型国土である。日本は「国土軸」なんていうぐらいで、直線上にたくさんの都市が連なっている。これほど鉄道向きな国はないだろうし、飛行機を使うにはちょっと狭すぎるのだ。

「移動には目的がある。私には名古屋に急いで行く用事もない」

要はこれ。
自分は東京にいるからこういうことが言えるのだ。
この言い方はかつて「もう高速道路はいらない」と言っていた人と同じ物の見方なのだ。
東京に住む自分たちはもう満たされた。ほっといても向こうから人や物が集まってくる。だから「名古屋に急いで行く用事もない」のだ。そっちになくても名古屋人は東京に急いでいく用事がきっと増えるだろう。

リニアの話が出てきた21世紀の現代でも、1965年の東京オリンピック以前の鉄道網しか生活圏にない人がたくさんいる。新幹線の駅まで1時間以上掛かる人がたくさんいる。そんな人は新幹線の恩恵すらあまり受けていないだろう。

そんな人にこそ「速ければいい」のだ。
もしかすると必要なのは、地方の在来線を置き換える、50人乗り程度で200km/hの速さが出る安価な乗り物なのかもしれない。