心も体もデフレを望む日本人
これは「日本独特」とよく言われる。日本は、失業対策を企業が担い、雇用を政府が受け持つ。だから、昔は家に関するさまざまな手当てが会社から出て、仕事という名の公共事業が国から出たとも言われるとか。
でも、これって、日本人が期待している事なんじゃないだろうか。クビになるぐらいなら、低賃金でもいいから会社に残りたい、と。
東京都が冬のボーナス支給 平均92万4971円 官民格差鮮明に
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091210/lcl0912101329005-n1.htm
支給月数では、昨年度の4.5カ月から今年度は4.15カ月と平成15年度以来6年ぶりに減少しているが、民間シンクタンクの予想による民間企業の今冬のボーナスは、平均は36万6000(前年同期比13.8%減)〜39万2923円(同7.4%減)で、ボーナスの官民格差を鮮明に示す結果となった。
こんなニュースが出れば大半の人は「公務員叩き」をするだろう。
「公務員にボーナスなんて必要ない」「もらいすぎだ」
と。
そして、二言目には
「俺のほうが少ない」「私なんかもらえない」
と。
俗に言う、奴隷自慢。
これって、日本人の特性なんじゃないかと思う。
「俺にも公務員並みのボーナスを出せ」「私にもボーナスを出せ」
と、なぜ抗議しないんだろうか。
(もちろん抗議したからといってもらえるとは限らないあたり、財政難でもボーナスが出ちゃうお役所がうらやましいとは思うのは当然だとは思うけど)
抗議したらクビになる。で、ついつい、クビになるぐらいなら、低賃金でもいいから会社に残りたい、と言う発想に落ち着いてしまう。
だから、たくさんもらってる他人を叩くのだ。見ず知らずの人を叩くだけならわが身は安泰。でも、自分の会社を叩くのは勇気がいるし、リスクもある。ハイリスクローリターンより、ローリスクノーリターンのほうを選ぶのだ。
これじゃ、デフレになって当然。賃金が上がる要素がまるで無い。行動を起こさないばかりか、賃金が上がって欲しいと本気で願っている人はいない。
おのずと賃金が下がるんだから、購買力も落ちる。しかも、デフレになって喜ぶのは、すでに貯金がたくさんあって、会社と戦わなくてもいいお年寄り。お年寄りは数が多いい上に選挙にもまじめに行く。当然政治もお年寄り向けになる。
日々の食費が100円上がると過剰反応するのに、月給が3000円上がっても大して喜ばない。基本的な意味は一緒なのに、物価の値上がりは鬼のような反応をする。
「デフレで困ってる」なんて思ってる人は実は少ないんじゃないないの?
実はじわじわ蝕んでいるのに、物価上昇のように鬼のような反応をしないのは、自分の収入が減っても、物価がもっと下がれば問題ない、と思っているからなんじゃないかなぁ。
これって、クビになるぐらいなら、低賃金でもいいから会社に残りたい、って言う感覚と同じで、物価が上がるぐらいなら、低賃金でもいいから、物価を安くして欲しいって言う事なんだろう。
しかも、ここで言う物価は名目的なもので、絶対値が大事になってしまっている。
日本がかつて「国際化」するときに、英語(英会話)が必要だ、って言われているのと同じで、これだけ経済がグローバル化すると、外国為替とか購買力平価とかそういった経済的な知識、知恵が一般国民レベルで必要になってきてるんじゃないだろうか。