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物を所有しても話題の中心になれる時間は短いと悟った世代

ゆとりの次は「さとり世代」?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100202-00000053-zdn_n-sci
 記事では、「車に乗らない。ブランド服も欲しくない。スポーツをしない。酒を飲まない。旅行をしない。恋愛に淡泊。貯金だけが増えていく」「現代の若者が目指すのは、実にまったりとした、穏やかな暮らしである」など若者の消費傾向を紹介。これが日本経済にとってプラスかマイナスかを問いかける内容になっている。

 記事を取り上げた2ちゃんねるのスレッドでは「物心付いたころから不景気だった」「欲しがらないのではなく、お金がなくて買えないだけ」「以前より消費者が賢くなったのでは」などさまざまな感想や意見に混じり、「さとり世代」という書き込みが登場、「名言」と注目を浴びている。

言い方を変えれば、おじさん世代より上は、酒の力を借りてコミュニケーションしている「飲みにケーション世代」であり、アラフォー世代の若いころはブランド服や海外旅行をすることでコミュニケーションしていた「バブル世代」というくくりのひとつだろう。
経済界として面白くないのは、さとり世代はこうした「物を消費することを共通項としたコミュニケーション」をしなくなった、だから不景気で困る、ということなんだろうけど、こんな時代でも成長している業界があるではないか。それはいまさら言うまでもなく「携帯電話業界」であり「ネットサービス業界」だろう。

確かにお金がない「さとり世代」。それでもこの世代は携帯電話やネットサービスを利用することを共通項としたコミュニケーションがしっかり成り立っているのではないだろうか。

もうちょっと上の世代では「携帯電話のアドレス帳にたくさんメールアドレスが登録されているほうが幸せ」「メル友が居ないとさびしい」「届いたメールはすぐに返信する」という価値観を持ってきた世代でもある。物の豊富さよりもよりもメル友の数、リアクションの多さなのだ。

もちろん経済的理由はたぶんにあろう。不景気、収入が不安定、悲観的な将来といった経済状態のなか、ネットにつないだり、携帯電話を利用するだけなら、高くても月1万円以内で毎日コミュニケーションか出来る。車やブランド服を買った、旅行に行った、スポーツをした、酒を飲んだ、という形での消費は、その最中やその直後は仲間内でも話題になるだろうが、その話題はおそらく1週間も持たないだろう。簡単に言ってしまえば話題の中心になるための「一発芸」としては車やブランド服は高すぎるのだ。もちろん、物を消費すること自体、自己満足にはなるだろう。しかしそれは自己満足にしかならず、他人から褒めれたい、羨ましがられたい、といった「承認欲求」を満たすことが出来ないのだ。

ブランド品のレンタルサービス、なんていう商売が出てきているのも同じ理由からだろう。新作のブランド品や国内で入手不可能な人気のブランド品を入手した人は、その瞬間話題の中心になれるだろう。しかし、その時間は長くない。払った代償の大きさの割りに長持ちしないのだ。だったら、その瞬間にだけお金を支払えるサービスがあれば良い。それを満たすのがブランド品のレンタルサービスなのだ。いまはブランド品に限らない。車も販売数は下落の一途なのにレンタカーのほうは伸びてきているのも同じ理由からだろう。

では、恋愛はどうなのか。
車、ブランド品、スポーツ、お酒、旅行。
並べてみれば、どれもこれも「デートアイテム」である。既存のメーカーや物販業者は「頼むから昔のように恋愛して物を消費してくれ」と思っているだろう。かたや草食系と呼ばれる人たちは「恋愛すると物を消費させられる」と否定的にすら思っているかもしれない。しかし、上にも書いたように、今は「物を消費することを共通項としたコミュニケーション」をしなくなったのだ。携帯電話やネットに変わるコミュニケーションのための新しい共通項となる物が出てこないうちはこの状況は変わらないだろう。物を相手にするよりも人間相手のほうが楽しいのだ。それはあたかも、ゲームでコンピューターと対戦するより人間と対戦したほうが楽しいように。